パースで家族移住を実現するために、娘が乗り越えてきた道のり。

最終更新日時 : 2016年3月16日



現在の私の生活は、二人の子ども達を中心に回っています。
子ども達の今年の学校生活も、あと3週間を残すのみとなりました。

西オーストラリアの公立学校では、2014年は12月18日(木)が登校最終日です。
(19日(金)が先生のみの日)

それにて、今年度の授業はおしまい。
うーん、季節が巡るのは、はやいなぁ~!

クリスマス、新年、・・・を経て、新しい学年が始まるのは、2月の頭。
2015年度は、2月2日(月)からスタートです。

各ターム(学期)の開始・終了日は、西オーストラリアの教育省(Department of Education)のウェブサイトで確認できます。2015年のターム日程は、以下のページにて。

Department of Education : Term dates – Future Dates


我が家の場合、現在kindyに通う息子は、次はpre-primaryクラスに進級です。
そして現在Year7の娘は、今年でprimary school(小学校にあたる)を卒業し、来年度はSenior High schoolに入学です。

今週、娘は進学先の学校のオリエンテーションに参加してきました。
やはりプライマリースクールとは雰囲気も違い、戸惑いもあったようですが(まあ当たり前ですよね)、これからこれから。
パースに来てからのことを振り返ると、よくここまでやってきたな、と思わずにはいられません。

いい機会なので、そんな娘の今までのことと、ハイスクールを決めた時の話をまとめてみたいと思います。

今回は「今まで」編。

パースに移住をめざしてやって来たはいいけれど・・・


娘はパースに来てから、今まで、公立primary schoolのIECクラス(Intensive English Centre)に所属しています。
IECとは、英語が母国語でない生徒が英語を習得し、学校教育の中でやっていけるようになるための、特別プログラムを行うクラスです。
(ちなみに、いわゆるIECでない、英語ネイティブの子ども達が通う普通のクラスのことは、main streamと言われています)
うちの学校の場合は、IECもprimary schoolの一部となっており、施設などは全校で共有し、集会(assembly)や運動会などの行事はmain streamの生徒と一緒に行います。

娘は、昨年の5月からパースの学校に通い始めましたが、最初は英語なんてA,B,C…と、色や動物の名前がちょっと、くらいしか知りませんでした。
もちろん英語なんてしゃべったこともないし(Helloくらい?)、文章の読み書きなんて、まったくできませんでした。

うちの学校のIECには、初級クラス、中級クラス、上級クラスと3つのクラスがあります。各クラスには英語のレベルの評価基準があり、それをクリアすると上のクラスに移っていきます。そして上級クラスをクリアすると、main streamへと移ります。
娘は最初、初級クラスに入り、昨年度はそこでずっと勉強していました。

どんなことを学んだか?どんな様子だったか?については、過去にGITSのブログの方で記事に書いてきました。

西オーストラリアの教育は日本とどう違う?-表彰状の内容

西オーストラリアの教育は日本とどう違う?その2-持ち物から考えてみる

西オーストラリアの教育は日本とどう違う?その3-英語の学び方




最初は正直、本当にたいへんでした。
うちの学校には、日本語のわかる先生が1人もいませんでした。
担任の先生もわかりません。

とにかく娘は毎日、先生の書く板書をノートに写させられるので、家に帰ってきて、私と一緒に単語を一つ一つ調べながら、その内容をチェックすることが日課でした。
先生にとっても、おそらく英語ができない子というのは、「英語の読み書きはできないが、簡単な会話はできる」というケースが多かったようで、そんな中で英会話ができない日本人の子、というのはさぞかし戸惑ったであろう、と今となっては振り返ります。
ただでさえ、子ども達はおしゃべりが好き。
そんな中で、「この子は何を考えているのか?わかっているのかわかっていないのか?」・・・ただ黙っている娘のことを、そんなふうに思ったんじゃないか、と思います。

私自身も、娘はそんな環境の中で、毎日学校でどのように過ごしているのだろうか、と内心心配していました。
先生の言っていることもわからない、友達に話しかけられても言い返せない。
どうしてるんだろうなぁ・・・と。

それでなくとも、小学校高学年くらいの女の子といえば、難しい年ごろ、と言われます。
友達とのおしゃべりに花を咲かせるような年齢で、まったく言葉の通じない子ども達の中に、ポーンと娘を送り込んでしまった・・・

私は、娘が「学校に行きたくない」と言うんじゃないかと思ったし、「なんでこんなところ(海外)に私を連れて来たの?」と反発されることも覚悟していました。
だって、考えてみたら、簡単なことじゃないですよ。

何があっても、とにかく娘が自分を責めないでいられるように、ということを考えました。
英語は必ず覚えられるし、話せるようになる時が来るから、とにかくがんばって勉強していこう、と励ましました。
(自分に対しても言うつもりで・・・)

 

英語が通じない中で娘がみつけた表現方法とは


ところが驚いたことに、娘は「学校に行きたくない」と言ったことはありませんでした。
つらいこともあったと思うけれど、立ち向かっていました。

そして彼女は言葉が通じない代わりに、自分の居場所を作る方法をみつけたんです。

彼女は、絵を書くのが好きです。
クラスメイトは、タイ、インド、イラク、中国、韓国、ベトナム、エジプト・・・いろんな国の子がいましたが、結構みんな、ポケモンとかドラえもんとか、知ってるんですね。
それで彼女は、みんながポケモンのことなどを話題にした時に、キャラクターの絵を描いて見せたそうです。

日本では多くの子ども達がよく描くような絵ですが、それが外国の子ども達にウケた!

ポケモンのキャラクターは、ピカチュウ以外は、日本オリジナル版と英語版では名前が変わっているので、名前を言われても何のキャラクターかよくわからない。でも絵を描いてあげると、「おおー!××だ!」となる。

そんなふうにして、英語がつたないなりに、周囲と盛り上がれる題材をつかんだんですね。
彼女のちょっとした特技が、異国でサバイブする手段に生まれ変わった瞬間でした。

それからクラスメイトにリクエストされ、少女マンガ風の絵をキレイに仕上げて、プレゼントしたりもしてました。

また、IECの特徴なのか、英語の文章を理解したり、ライティングを学ぶ時に、同時にその内容を表現する絵を描かせられることも多いんですね。
彼女は丁寧に絵を描くため、その点でも先生から評価されたし、クラスメイトからも「絵の得意な子」と認められるようになりました。

娘はどちらかというと、(多くの日本人の女の子がそうであるように)我を出さないし、自分からベラベラしゃべらないタイプです。
しかもこちらでは、英語が流暢でないため、言葉で自己主張することが難しいのは当然です。
最初の頃は、先生達からも「恥ずかしがりやでおとなしい子」と思われていました。

ですが、娘は(多くの日本人の女の子がそうであるように)先生の話をよく聞くし、言われたことはきちんとやります。
宿題もちゃんとやるし、ふざけないで一生懸命課題に取り組みます。
一度ルールを理解すれば、英語もどんどんできるようになってきました。

そのため、いつからか、先生達も娘のことを、「一生懸命勉強している」「英語がたいへん上達している」「きちんとした態度をしている」と評価してくれるようになりました。

She is a gentle and very polite young lady who is a quiet achiever.
She is quietly confident.

穏やかで礼儀正しく、静かに目的を達成する子。
物静かだが自信を持っている。

成績評価のコメントにこんな言葉をもらいました。

自己主張の強い海外勢の中で、静かだけれどもやるべきことをやっている。
その姿勢を先生方が認めてくれたことは、とてもうれしかったです。
そして同時に、「〇〇(娘)は英語ができるのだから、みんなに負けないように話しなさい」「もっと話して英語ができることをみんなに示しなさい」という励ましもいただきました。

 

苦しい時期を乗り越え、今は

娘は昨年いっぱいは初級クラスで学び、今年はターム2まで中級クラス、そしてターム3からは上級クラスで学んでいます。

最近は英語も上達し、私にはわからない算数の単語などもどんどん覚え、自信をつけてきているのがわかります。
先生や友達とのコミュニケーションにも積極的になって、学校生活を楽しんでいるようです。

ですがそれまでは、苦しい時期を過ごしてきただろうことを、私は知っています。

けれどそれは同時に、初めて日本という国から出て、色んな国の人の中で、日本人という部分も含めて自分がどういう人間なのか、ということを彼女なりに考えた時期でもあったのではないか、と思っています。
この環境の中で自分にできることは何なのか・・・
それはこの先の長い人生、自分がどんな分野でどんなふうに、世の中で役立っていけるか。どう生きて行けばよいか・・・を常に考え続けていかなければならない、そのファーストステップを経験した、ともいえるんじゃないかと思います。

彼女が自信を失わずに、けれど我慢強く謙虚に、英語の学習に取り組んできたこと。
家族の前では、ぼーっとしているような娘だけれど(笑)、こんなに芯の強さを持っていたのか、と改めて思いました。
そして、それを認め、彼女に足りないところを後押ししてくれた、先生方。子どもらしく明るいクラスメイト。学校の環境には本当に感謝したいです。

 

ハイスクールに進学しても、この姿勢を忘れずに学習に取り組んでほしいです。

 

pic2

↑ アートの授業で描いた水彩画。
毎回作品に対し、自分でどんなところが好きか、もっとよくしたいところはどんな点か、などのコメントを書き、各項目について自分で評価をつけます。さらに先生がそれぞれに評価をつけます。

(次回は、「ハイスクール選びで、娘が乗り越えた壁」について)


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Chieko
2013年より、西オーストラリア・パース在住。2017年永住権取得。
息子(小学生)、娘(ハイスクール)、夫と4人暮らし。

オーストラリアをテーマにしたライター。得意分野は、食、生活、子育てに関すること、子連れでの観光・旅行(キャンプ)。
趣味は料理・ガーデニング・DIY。

オーストラリア生活で私が学んできた英語のことと、大人の英語勉強法についてつづるブログ「話す英語。暮らす英語」も更新中。

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