書き手も読み手も擦り減らない世界がいい。DeNAのサイト閉鎖問題で思うこと。

今年はジャカランダの花が咲くのが、例年よりちょっと遅い気がします。

今住んでいる家は、裏庭から、満開のジャカランダが見えるんです!

なんだか得した気分♪

12月も一日一日と過ぎて行き、来週で子ども達の学校も終了です。
それまでに、子ども達の学校の行事、提出しなければならないもの・・・色々あるので、忘れないようにしなきゃ(汗)。

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ところで、今気になっているニュース。

DeNAの運営するキュレーションメディア「WELQ」が問題となって騒がれています。

キュレーションメディア(またはキュレーションサイトなどとも言われる)というのは、あるテーマに沿って、ネット上のコンテンツをまとめたり再編集した記事などを集めたサイトのことです。

たとえば有名なサイトでは、『Spotlight』『ギャザリー』『iemo』『MERY』…皆さん知ってます?私よく知らないんですが。
『NAVERまとめ』などもキュレーションサイトの一つと言われます。

 

実は私、この問題を知ったのはつい最近。
ネット界のちょっと難しい話なんて、よくわかんないなーと思ってたんですが。。。。

でも、私自身、一応ネット上で記事を書いている身です。
気になって調べてみたら、色々と考えさせられる問題でした。

今回は、いつもとちょっと雰囲気の違うテーマなんですが・・・その問題について、私が思うことをぶちまけたい書きたいと思います。

文字ばっかりですみません。

日頃このブログを読んでくださっている皆さんにも、是非一緒に考えていただけたら、幸いです。


何が問題となったのか?


今回問題の発端となった「WELQ」は、医療情報サイトということで、健康や医療に関する膨大な情報が掲載された大規模なキュレーションメディアでした。体調や薬のこと、健康問題についてネット検索したことのある方なら、一度は目にしているサイトかもしれません。(私は知らなかったけど)

このWELQが大きな問題となったのは、

1)個人投稿サイトを装いながら、実は外注ライターに安価で大量の記事を書かせていた。
2)外注ライターには、検索エンジンにヒットするような書き方を指示。さらに、他サイトの内容を引用とバレないように書き直して(リライト)転載する方法を教え、書かせていた
3)それを自社でSEO対策を施し、検索上位に来るような操作を行っていた。
4)医療・健康という、正確性の要求されるテーマであるにも関わらず、専門知識を持っていない人に記事を書かせていた。しかも、「個人投稿サイト」を装うことで、サイト運営者(DeNA)は記事の内容に責任を負わない、としていたこと。

特に4番目の問題について、WELQが医療情報サイトであったこと、そしてこのカテゴリのキュレーションメディアとして大規模なアクセスを集めていることから、今回大注目を浴び、騒がれることとなったようです。

詳しくは、ネットニュースをググってみてください。
また、以下の記事が参考になります。

DeNAの「WELQ」はどうやって問題記事を大量生産したか 現役社員、ライターが組織的関与を証言|BuzzFeed

 

この件を発端に、DeNAは現在、運営する全10サイトを非公開にすることを余儀なくされ、本日(7日)には記者会見する事態になりました。

さらに他社のキュレーションメディアまでも、健康・医療系の記事を中心に、一部の記事を非公開にするなどの措置を取り始めています。

影響が広がっています。


キュレーションメディアの問題点

こうしたキュレーションメディアは、実は以前から問題になってはいました。

というのも、もともと個人・企業がネット上に掲載したオリジナルな記事や画像を、その人の許可なく無断で使用している事例が多発していたのです。

さらに問題なのは、こうしたキュレーションメディアは、大規模だし知名度も高く、アクセス数が多い。
検索すると、オリジナル記事よりもこうしたコピー記事の方が上位に表示されることも多い。結果的に(あたかもそちらの方がオリジナル記事であったかのように)より多いアクセスを集めていることも、めずらしくはないようです。

中には、オリジナル記事を作成した人の方が、パクリ記事の方を「パクってるのでは?」と、問われるケースもあるとか(汗)。

明らかに著作権侵害なんじゃないの?と思うのですが、現実にはこうしたことが横行しています。

これは、私のようにネット上で記事を書くライターも気をつけなければなりませんが、他サイトがアップしている写真などを無断で使用することは、やはり避けなければなりません。
有名サイトでもやっているから大丈夫、ということはありません。
今回のように、大企業の運営する大規模サイトであっても、サイト一時閉鎖に追い込まれ、責任を追及される事態になり得ます。

また、そうした(パクリ)行為を推奨するような会社に記事を寄稿するということも、やはり避けたいです。

なにより、人の著作物をパクることが横行する世の中を助長する、ということが、自分自身の創作物をも危険にさらすことにつながる。このことも意識しなければなりません。

私自身は、過去および現在に寄稿しているサイトは、信頼関係の元に、オリジナルかつ納得いく条件の範囲で、執筆しているつもりです・・・。


まとめ記事の人気とWELQの問題は「表と裏」

先のBuzzFeedの記事によると、WELQでは、8000字前後の記事が1日100本ほどアップされていたそうです。

一般の人が8000字書くって、相当大変ですよ?

私はぶっちゃけ、このブログの記事、だいだい1投稿で3000~5000字なんですが、2~4時間ほどで書きます。
といっても、それは純粋に文字を書くために使う時間です。

下調べにも時間はかかるし、写真を撮る時間、取材のためにでかける時間・・・むしろそっちの方が時間がかかります。
レシピネタの場合は、料理中に写真を撮ったり、買い物中に商品を下調べしたり。

手間をできるだけ省いて、日常の中で書ける話題を探していますが、ネットに上げるとなったら、それがどんな規模であろうと、極力間違ったことは書きたくない。だから可能な限りの裏付けを取るようにしています。

また、私は自分が暮らすパースの情報を発信したいので、写真も基本はオリジナルなものしか使用しません。
写真をブログに上げる際には、サイズを調整したり、トリミングしたり、と加工も必要です。

それなりの文字数・写真がある記事を、オリジナルで、内容も検証しながら作るのは、やはり手間のかかる作業なんですよね(ウケるかウケないかにかかわらず)。

だからWELQの記事が、他サイトをリライトしたパクリまがいのものであったとしても、私にとってはむしろ納得です。

 


一方で、キュレーションサイトというのは、今本当に人気ですよね。

ネット上には、さまざまな情報が混在しています。
その中から、有益な情報を取って来ることは、確かに難しいし、面倒です。
わかりやすいまとめ記事が人気を集めることも、自然の成り行き、と言えなくもありません。

その中で私が、書く側として思うことは、

読者は、「自分にとって有益な情報を集めて、それを検証して、自分の生活に活かす」ということにはあまり興味がなく、「誰かがピックアップしてくれた良さそうな情報を、短時間で手軽に知りたい」のだなー、ということです。

つまり、役立つ情報は知りたいけど、自分では手間をかけたくないから、誰かに選んでほしい。

今の時代、当然の需要ともいえると思いますが、こうした流れが、時間や手間をかけてオリジナルのコンテンツを創るより、『ググってパクってマトメる』方がアクセスを集められるし、お金になる、っていうシステムを生み出していることも確かではないでしょうか?

そしてそれが結果的に、より信頼性の低い、オリジナリティのないパクリ記事を生み出すことにつながる、ともいえるでしょう。

WELQの問題は、その流れの先端にあると思いました。

ネットでオリジナル記事を書く者としては、複雑な心境になります。

 

なぜアクセスを集める必要があるのか

そもそもなぜ、アクセスを集めるとお金になるのか?と思う人もいるかもしれません。

完全な非営利の個人ブログは別として、多くのウェブサイトでは、広告というものを出しています。

このブログでも出させてもらっていますが・・・ごく簡単に言うと、閲覧が多いほどウェブの運営者に広告収入が入ります。
正直、このブログ程度では、家計を助けるどころか、お小遣いにすらなりませんが~(苦笑)。

でも、大規模なサイトであれば、それは莫大な収入になります。多少の額をライターに払ったとしても、記事を量産して、検索結果にひっかかるような対策(SEO対策)をすれば、広告収入で何倍も利益を上げることができる、という仕組みです。

また、そこで商品を紹介し、記事を読んだ読者がその商品を買えば、紹介料としてウェブ運営者にお金が入る仕組みもあります(アフィリエイト)。

単純に考えて、アクセスが多いほど、こうした収入が多くなるのです。


広告収入やアフィリエイトでお金を稼ぐことは、一つのビジネスの形だと私は思ってます。

ネットでは「無料で有益な情報を取ってこれる」と皆思っているかもしれないけれど、それはやっぱりおかしいのです。

多くの人に役に立つ情報を発信することは、多大な労力が必要です。

そうした有益なコンテンツに対し、多くの人が情報を得て、喜んで、その結果サイト制作者が収入を得られる。それはいいことだし当たり前のことだ、と私は思います。
アフィリエイトも、商品の販売者、紹介者、購入者、みんなが満足してwin-winになるしくみだといえます。

ただ、お金メインになってしまうあまり、ウソだとか人の権利を侵害するようなことまで行われてしまう。それはやっぱり間違っています。

そして、健全なコンテンツと、そうでないコンテンツとの境目が、一般のネットユーザーには非常にわかりにくいと思います。

 

また、たとえ違法でなくても、人を傷つけたりイヤな思いをさせることで、儲けることもできてしまいます。

たとえば有名人が、ネットで乱暴なことを言って「大炎上」するということはよくあります。

最近だと、元フリーアナウンサーの長谷川豊氏が、自身のブログで、人工透析を受けている人達のことを「自業自得」よばわりして大炎上し、レギュラー番組を降板させられました。
長谷川氏のブログが広告やアフィリエイトをやっているかどうかは知りませんが、こういうことがあると、人々は「なになに?そんなひどいこと言ってるの?」と、話題になっているサイトを見に行きます。

実はこういう行為は、その人を批判しているつもりでも、結果的にその人にお金を儲けさせているかもしれません。

私は、こうしたお金の儲け方には、本当にウンザリ・・・というか、悲しいですよね、こういうことをして得たお金って。

でも現実に起きていることであり、無邪気な読者の行動が、ネット上のこうした言動を加速させてしまう可能性もあるのです。

 


制作者もユーザーも擦り減らないようなしくみがいい。

こうした現状の中で、無名でほそぼそととはいえ、ネット上でオリジナルコンテンツを作っている一個人としては、今後を非常に考えさせられます。

ライターやクリエイターの中には、「ネットの普及によって、全体的な創作物のクオリティが下がってしまった。」と憂慮する人もいるようです。
今回のように、お金目当てで誠実さのないコンテンツが量産され、しかもそういうものが、オリジナリティのあるコンテンツよりもお金を生んでいる、という現実に対する感想だと思います。
それももっともだと思います。

それでも私自身は、今でもネットというものに、大きな可能性を感じています。

私がネットに取り組み始めたのは、子どもが生まれ、外出も自由にままならない、自分の時間も規則的に取れない状況の中で、家事育児しながらできることを探した結果でした。

ネットというものがなかったら、私はこうして文章を書くことはなかったと思います。
そして、こんな弱小ブログでも応援メッセージをくれる人がいます。このブログをきっかけにつながりを持てた人もいます。このブログがあったからこそ、いただけたお仕事もあります。だから私は、直接的にはお金にならないこのブログを続けています。

ネットは私に大きな自由を与えてくれました。

『業界』とか『~界』にいちいち頭を下げなくても、個人でやりたいことができるし、自分の能力を世界に対して発揮し、それを通して見知らぬ人を励ましたり、役に立ったりすることもできる。クリエイティブに生きたい人にとって、ネットは自由で、すばらしい場所だと、私は信じています。

「ネットはデマばかりだ」「ネットの情報は信用できない」という声もありますが、それはネット以外でも同じです。
現実の世界にも詐欺はある。大手のテレビ局がいつも正しい情報を流すとは限りません。
どこの世界にも、誠実にモノづくりをする生産者もいれば、お金のために粗悪なものを大量生産する企業もあります。どんな業界にだって、労働者を大切にする企業もあれば、ブラック企業もある。

 

私は今まで、食や農産業を取り上げてきましたが、ネットについても同じように考えます。

ユーザー(消費者)の行動が、これからのネットコンテンツのクオリティに影響を与えていくことになるのでは。

コンテンツ制作者も、読者であるネットユーザも、擦り減らず、利益を得られるような、そんな仕組みを作っていきたいですよね・・・。


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Chieko
2013年より、西オーストラリア・パース在住。2017年永住権取得。
息子(小学生)、娘(ハイスクール)、夫と4人暮らし。

オーストラリアをテーマにしたライター。得意分野は、食、生活、子育てに関すること、子連れでの観光・旅行(キャンプ)。
趣味は料理・ガーデニング・DIY。

オーストラリア生活で私が学んできた英語のことと、大人の英語勉強法についてつづるブログ「話す英語。暮らす英語」も更新中。
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