アルバニーの旅・・・西オーストラリアの南の端で日本を思う。

最終更新日時 : 2016年3月16日

西オーストラリアでは、春のスクールホリデーが終わり、今週から子ども達は学校再開。

いよいよ今年最後の学期、term4の始まりです。

 

ところで、スクールホリデーが始まってすぐの3連休に、私は家族でアルバニー(Albany)というところに行って来ました。

パースの中心部からおよそ400km南東にある、南極海に面した町です。

Albany-map

すっかりキャンプが定番になった我が家。
テントがあれば、1泊数十ドルで、どこでも行ける!(笑)
行ったことのない場所に行ってみよう、ということになり、今回は南に向かいました。

といっても、Albanyって何があるんだろう・・・?

あまり調べもせず、行ってみました(笑)。

 というわけで今回は、1泊2日のアルバニー旅行の中で、私の印象に残った場所について、かいつまんで書こうと思います。

 

アルバニーの町の風景

やっぱり400kmも南に行くと、気温も低くなりますね。パースよりおおむね5℃くらい低かったです。
ずいぶん温かくなったなー、と感じることの多い日々だったけれど、アルバニーでは結構肌寒く感じました。そして、どんよりとした曇り空で、時折、小雨もぱらつきました。

アルバニーの町というのは、入り江のようになっています。
そこから望む海は、西オーストラリアでなじみ深いインド洋とは、ちょっと違いました。
すっかり見慣れてきた、どこまでも続くまっすぐな水平線と、エメラルドグリーンの海・・・パースの西側に見える海は、そんなダイナミックで開放的な印象ですが、アルバニーの海は、濃い青。

albany3

そして、灰色の曇り空のせいもあってか、海の向こうに陸が見える、という風景が、なんとなく「日本っぽいなー」と思いました。
かつて何度も行ったことのある、伊豆の海。
あるいは、日本で最後に暮らした、高松の港から瀬戸内海を眺めた雰囲気にも、どことなく似ていました。
娘も「なんだか高松に似てるね~」と言っていました。

また、パースで山を見かけることは少ないですが、アルバニーでは、町のすぐそばまで小さい山があり、斜めに建物が建っている様子も、なんだか日本でよく見た風景と似てる・・・

albany2

↑手前はAlbanyの駅。

 

albany1

フリスビーをかぶる、息子(笑)。

ここはたぶん、アルバニーの中心部だと思うのですが、土曜日の午後3時過ぎには、人通りも減ってきて、お店も容赦なく閉まっていきます。スーパーも5時で閉店。旅行に行く際は、ショッピングのスケジュールを立てておきましょう。。。
私達も、慌ててキャンプ用の食材を買いに走りました(笑)。

 ちなみに、アルバニーは人口約25000人だそうです。

 

アルバニーの風力発電所

 

ほぼ無計画でアルバニーまで来て、唯一、「行こう!」と決めていたところが、The Gap
海に断崖絶壁がそびえていて、その上まで歩いていける、アルバニーの有名な観光名所だそうです。

ところが、途中まで行ってみたところ・・・なんと、通行止めの表示が。

案内によると、The Gapは、改修工事のため、今年の11月半ばくらいまで閉鎖中、とのことでした。

残念。

しかたなく引き返し、途中に通りかかった Albany Wind Farmに立ち寄ってみました。
Wind Farm ・・・ 風力発電所。

ここは、アルバニーの中心部から12kmのところにあり、1.8~2.3メガワットを出力する風車が18基建っています。
すべて合わせて、アルバニーの電力需要の80%をまかなえる発電が可能なのだそう。
しかも、このwind farmは高台の沿岸部にあり、風車が回らない(くらい風が弱い)日は、1年間のうち約7日しかないらしいのです。
そして、発電効率を最大にするため、風車は自動的に風が吹いてくる方向を向くようになっているそうです。

 

windfarm1

風車のすぐそばに、駐車場とトイレがあり、そこから歩いて、風車の真下までいくことができました。
もちろん、パーキングも入場も、無料。
トイレ休憩に立ち寄ることもできますね。

さらに、林立する風車の間をぬって、ちょっとしたブッシュウォーキングを楽しむことができました。

windfarm3

真っ青な海と、広大な緑の陸、そこに建つ風車の群れ。。。壮観な眺めでした。

windfarm2

ちなみに、ちょっと調べてみたのですが、実は、これよりも規模の大きな風力発電所が、日本にもあちこちにあるんですね。
『地球温暖化』等の環境問題が取り沙汰されるようになって以来、火力に頼らないエネルギーが注目されています。さらに福島原発事故も経験した私達。危険が限りなく少ない、そして環境に悪影響の少ない発電方法を広めていくことは、現代を生きる私達の大きな願いであり、おおいに促進していってほしいと思います。
ですが、日本の風力発電事情は、決して喜ばしいことばかりではないようです。

日本では、2014年時点で、風力発電設備が2000基以上あるそうです(意外に多いんですね!)。
が、風力発電の設備利用率(実際に風車が回り発電をしている状態)は、約20%とされているそうです。実際には、もっと動いていない風車もあるかもしれない・・・。
「この風力発電は〇〇キロワット発電できる」と謳われていても、実際に発電している電力は、それより大幅に少ないと言えるでしょう。

また、国土の狭い日本では、住宅地の近くに風車が建つこともあり、中には民家から1kmも離れていない場合もあるそうですが、住人が風車の回る音によって体調を崩してしまうこともある、と聞いたことがあります。
また、バードストライクといって、野鳥がプロペラの羽に巻き込まれて死んでしまう被害もある、ということです。

それでも日本でこれだけ風力発電の風車が建っている理由は、建設することにより補助金が交付されるためだったり、企業や自治体がエコロジーチックなPRをするためのランドマークのためだったり・・・という側面もあるそうです。

少なくとも日本においては、風力発電をバンバン導入しても、実質的にはメリットよりデメリットの方が大きいのでは・・・という見方も結構あるようですね。

うむ。

 

けれど、このアルバニーの風力発電所は、広大な土地と、風が常に吹いている特有の自然環境を利用しており、民家からは最低でも数km離れているし、ほぼ一年中稼働していることからも、アルバニーの電力供給システムと立地環境がうまく生かされた形で動いているのではないか、と思いました。

途方もない時間をかけて蓄えられた地球の資源をただ使ってしまうだけの火力発電。さらに、人間や生きるものすべてにとって重要な遺伝子に影響を与えてしまう危険な放射性廃棄物を、安全に処理する方法がいまだに確立されていない、原子力発電。
・・・こういったものよりは、状況が適合するならば、自然の風でプロペラを回すシンプルな方法で電気を作ることができれば、その方がやっぱりいいんじゃないかな、なんて思いました。

 ・・・大自然の中でグルグル回る風車の「ブーン」という音を聞きながら、色々考えさせられました。

 

森の中のワイナリー

アルバニーには、ワイナリーもいくつかあるようです。

今回、私達は、Wignalls Winesというワイナリーに行きました。

といっても、他のところにいくつもりが、道を間違えてしまい、偶然通りかかったので立ち寄ってみたのですが(笑)。

パースといえば、すぐ近くのスワンバレーや、観光地として人気のマーガレットリバーに、たくさんのワイナリーがありますが、みな大きくて立派な建物で、素晴らしい庭園やオシャレなレストランがある、豪華なイメージです。

でもこのワイナリーは、それとは全然違って、うっそうとした森の中に、小さな小屋のような建物がひっそりと佇んでいるだけ。。。

思い切って中に入ってみると、一応テイスティング用のカウンターがあって、おじさんが快く対応してくれました。

お客さんは私達だけ。
いくつかテイスティングさせてもらいました。

白ワインは、シャルドネ(Chardonnay)という品種のものを2種類、試飲しました。
その2つは、ぶどうの品種もグレードも、まったく同じなのだそうです。が、1つはコンクリートの入れ物で熟成させたもの、もう1つは天然のオークの樽で熟成させたもの。

・・・おぉー。

コンクリート製の方は、うちでよく買う、安いワインの味だ~(笑)。でも、サッパリしていておいしいです、飲みやすい。
一方、オーク製のものは・・・香りも味も全然違う!
味がまろやかで、ハーブやウッドの香りがして、サッパリなのにリッチな味わい。

やはり、オークの樽を使う方が、手間もコストもかかるそうですよ。

赤ワインは、特にピノ・ノワール(Pinot Noir)がおじさんのおススメでした。
というのは、西オーストラリアでは、ピノ・ノワールを栽培している畑は少ないのだそうです。ピノ・ノワールは、涼しい気候でないと栽培できないためで、西オーストラリアでは、アルバニーなど、大陸の南の端の方に限られているそうです。
この品種は、ブドウの皮が薄いため、色は明るめで、味も赤ワインの中では軽くてスッキリ系。
ですが、「軽いけれども、飲んだ後も口の中に余韻が残るのが、ピノ・ノワールの特徴だ」と、おじさんが教えてくれました。

そうやって話を聞きながら味わってみると、いっそうおいしく感じますね~。

というわけで、おみやげにオーク製のシャルドネと、ピノ・ノワールを買いました。

wine

見た目は地味なワイナリー(笑)だったけど、とても印象に残るひとときが過ごせました。

ちなみにこのワイナリーのワインは、日本のワイン品評会でもメダルを取ったことがあるそうです!

こんなところに、日本とのつながりがあるなんて・・・!

Wignalls Wines
448 Chester Pass Rd、Walmsley WA 6330
wignallswines.com.au
(08) 9841 2848

 

次のホリデーの計画?

 

また、Albanyで1泊した後、50kmほど西にあるデンマーク(Denmark)という町にも行ってみました。

先に書いた、Wignalls Winesのおじさんが、「Denmarkに行くと、もっとワイナリーがたくさんあるよ。」と教えてくれたのですが、車を走らせていると本当にあちこちにワイナリーがありました。

私達は、子ども達のために動物園に行きました。
こじんまりした動物園だったけど、ヤギやアルパカ、カンガルーなどにエサがあげられて、結構楽しく過ごせました。
スタッフもフレンドリーで、のんびりした雰囲気でよかったです。

animal1

アルパカさんにもエサがあげられます。毛がふかふか。

 

animal2

ヤギさん。

 

animal3

スタッフが抱っこしていた、カンガルーの子ども。

 

PENTLAND Alpaca Stud & Animal Farm
2019 Scotsdale Rd, Denmark WA 6333
Tel:(08) 9840 9262
http://www.pentlandalpacafarm.com.au/

特に小さい子のいるファミリーには、ちょっと立ち寄る場所としておススメです。

 

アルバニーまで行ってみて・・・正直に思うのは、1泊では全然足りない!!ということです(笑)。
他にも見て回りたかったところ、ありますが、全然時間が足りませんでした。

アルバニー、デンマークを含む西オーストラリアの南の地域は、有名な国立公園や、貴重な自然環境の見どころがいっぱいあるんですよね。
そして、パースに2年半住んでいる視点から、この地域はパース周辺とはまた雰囲気が違うなー、と思いました。
私自身は、勝手に日本とのつながりを感じてしまいましたが・・・(笑)

『西オーストラリア』と一口に言っても、本当に広く、場所によってさまざまな個性があります。
そして、その土地の特徴や自然環境を生かした形で、その土地特有の産業や生活様式が成り立っているようすを知るのは、とても興味深いし、自分の知らない土地のありようを知ることで、自分自身の生活や人生を振り返ることにもつながるんじゃないかな、なんて思います。

 

今度のロングホリデーには、何日かかけて、南の方を回ってみたいなーと、今から考えています。
車にテントを積んで・・・(笑)。

 

 

 


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Chieko
2013年より、西オーストラリア・パース在住。2017年永住権取得。
息子(小学生)、娘(ハイスクール)、夫と4人暮らし。

オーストラリアをテーマにしたライター。得意分野は、食、生活、子育てに関すること、子連れでの観光・旅行(キャンプ)。
趣味は料理・ガーデニング・DIY。

オーストラリア生活で私が学んできた英語のことと、大人の英語勉強法についてつづるブログ「話す英語。暮らす英語」も更新中。

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