9月・・・南半球の春。今年はどうしても、行って見たいところがありました。
花見、じゃない、、、ワイルドフラワーを見に行きたい!
実は2年前、10月の初旬に、ワイルドフラワーを見たくて、パースの北の方へ出かけたことがありました。
で、Wubinという町に立ち寄った時に、たまたまおしゃべりした地元のおじいさんに「ワイルドフラワーを見たくて来たんだ」と言ったら、「もうほとんど終わっちゃったよ」と言われました。
なんだ、もう10月じゃあダメか。
それで、その時はRabbit Proof Fenceを見に行ったり、開拓時代の農具の展示などを見たりして、それはそれで面白かったんですが。
・・・やっぱり、この地域でワイルドフラワーを見るなら、9月の初旬がよいみたい。
その季節に、もう一度出かけてみたいなぁ~。
と、その時からずっと、思っていたのです。
そして先日、PERTH DREAM TRAVEL PLANNER(パースドリームトラベルプランナー)というツアー会社さんのブログで、「今年はワイルドフラワーの大当たり年!」と書いてあるのを読み、うわーもうこれは行かねば!と思いました。
ドリプラさんにいくつかの見どころをこっそり教えていただき(ありがとうございます! 笑)、それと自分達でマップや情報を調べ、行ってみよう!と決めたのが、先週金曜日の夜(笑)。
や、本当に、なかなか9月は忙しく、色々とタイミングが合わず、前日になって「今週末なら行けそうだ!」という話になったのです(笑)。
私達が行こうと思ったスポットは、パースから約460km北。
本当は、キャンプで一泊したい距離だけど、こんな具合で慌ただしく、キャンプの準備をするには時間も気力もなく。
だから、今回は日帰りで行って見ることに!
というわけで、先週末に訪れた、西オーストラリアでワイルドフラワーを見る日帰りプチ旅行の記録です。
ワイルドフラワーを見に行った場所は?
西オーストラリアでは、この春シーズンにワイルドフラワーを見られる場所はたくさんあります。
パース周辺でも、そしてシティから遠く離れた場所でも。
今回私達は、特にパースの北部ジェラルトン(Geraldton)から内陸にかけてこの時期に見られるという、リースフラワー(wreath flower)を見に行くことにしました。
ワイルドフラワーの町として有名なMullewa。その隣町Pindarというところが、リースフラワーの見られるスポットらしい。
そしてもう一か所、Mullewaの南にある、Coalseam Conservation Parkというところは、やはりワイルドフラワーが見られる人気のスポットだそう。
またワイルドフラワーだけでなく、この公園はピクニックやキャンプもできるレジャースポットとして、年間を通じて楽しめるそうです。そして敷地内を流れる川の河川敷では、大昔の海の生き物の化石が発見できるらしい。
これは面白そう!
この2か所を訪れることにしました。
パースからMullewaまで片道、全力で走っても5時間以上はかかる・・・行くだけでも半日はかかるなぁ~。
「お花を見たって面白くないよー」 とぶーぶー文句言う息子。
「別に行ってもいいけどぉ・・・」 と面白くなさそうに言う娘。
私と夫だけが行く気マンマン。
まぁ、いいか。
たまには、子ども達に付き合ってもらったって、いいよね???
朝早起きして出発。
Great Northan Highwayを通り、New Norciaまでの道は、Chittering Valleyという緑豊かな山間を通り抜けます。
まだ朝早かったこともあり、農場には羊や馬が活発に動く姿が見え、低く垂れこめた雲が、丘の下を緩やかに流れていくのが見えました。
うーん、美しい風景。
道沿いのところどころに、ピンクや黄色やブルーの花が咲き、菜種の農地では一面鮮やかな黄色のカーペットがなだらかな丘を覆って見えました。
一方の小麦畑は、色鮮やかな緑色。黄色と緑が作り出す、天然のパッチワーク。
New Norciaでトイレ休憩。
さらに北上します。
WubinからMullewaまでの道が、長い・・・
そしてこのあたりから雰囲気が変わり、西オーストラリアの乾燥した大地を感じさせる風景になってきます。
太陽が高くなってきたこともあるけれど、地面は赤茶色の乾いた土になってきて、だんだんまぶしさを感じてきました。
起伏の少ない、広々とした土地。
その道沿い、埃っぽい地面に、およそ似つかわしくない、色とりどりの花が点々と咲いています。
そして、普段なら緑一色の低木も、今は遠くから見るとさまざまなトーンの薄い黄色のベールに覆われています。
たぶん、オーストラリアの国花、ワトル(acasia)の種類かな?
それを見ながら、時速110kmで疾走(笑)。
あーじっくり見たいなー!と思いつつ・・・。
途中で車を止めて写真を撮ろうかな!と思っても、すごいスピードなので、なかなか止まれないのです。
それでも、道端に車を止めて、カメラを構えている人達の姿を何度もみかけました。
うんうん、気持ちわかる~。
この時期ならではの光景かもしれません。
我が家もちょっと、車を止めてみました。
どこまでも、ひたすらまっすぐに続く道。
道の脇に、可憐なピンク色の花。Pink cluster everlasting(Schoenia cassiniana) という、西オーストラリア原産のワイルドフラワー。
まるで荒野のような乾燥した土に、こんなかわいらしい花が自力で花を咲かせるなんて、信じられないけど・・・これが西オーストラリアの自然の驚くべき力。
時間を気にしつつ、再び時速110kmでドライブ。
北へ進めば進むほど、黄色、オレンジ、ピンク、水色、紫・・・と、色とりどりの花が様々なトーンで、沿道に現れては消えていきます。
写真は撮れなかったけど、目に焼き付けてきました。
荒野に咲くリースフラワー
ようやくMullewaまでたどり着いたのがお昼過ぎ。
途中で買っておいた食材で簡単なサンドイッチを作って、昼食タイム。
一応Mullewaには、公衆トイレや駐車スペース、ちょっとしたショップもあり、この辺では比較的ちゃんとした『町』って感じでした。
ここから、今度はリースフラワーが見られるという、Pindarという場所へ向かいます。
Pindarは、Mullewaから約30km。そしてリースフラワーの場所までは、さらにそこから未舗装の道路を10kmほど行く必要がありました。
ちなみに、Pindarは町なのかと思ったら、民家が何軒かと工場(?)があるだけで、まっっったく何にもないところでした。
トイレ休憩はゼッタイMullewaで取っておいた方がよいです!←経験談(笑)
何もないところだけど、やはりリースフラワーを見に来たと思われる自家用車やツアーバスを何台もみかけました。
埃っぽい砂地のオフロードをどんどん走っていきます。
車とすれ違うたび、視界がもくもくして、窓を閉め切っても車の中が埃っぽく感じるくらい(笑)。
そんな道の道端に、咲いていた!リースフラワー。
Wreath lechenaultia(Lechenaultia macrantha)、またはわかりやすくWreath flower(リースフラワー)と呼ばれる、この花。
リースとは、クリスマスリースでもおなじみの、花を輪っか状にまとめて作った飾りのこと。
でもこのリースフラワーは、人工的に形作られたものではなく(私は最初、そう思ってた~)、自然とこのような形に、円周を縁取って花が咲くのです。
そして、人の手によって植えられたりメンテナンスされているわけでもなく、自生している、ワイルドフラワーの一種なんですね。
リースフラワーは、西オーストラリアのワイルドフラワーとしてたいへん特徴的な花であり、しかも西オーストラリアの中でも、パース北東部の穀倉地帯(Wheat Belt)からジェラルトン周辺の内陸部にかけて、という限られた地域でのみ見られるとのこと。
緯度やその年の気象状況によるのだろうけど、8月から11月にかけて、開花するそうです。
このように自然のものなので、シーズンによってたくさん見られる年もあれば、数が少ない年もあるらしい。
リースフラワーと言っても、必ずしもキレイな円形になるわけでもなくて・・・こんなのも。
夫は、「なんとなく日本列島みたい(笑)」と言っていたけど~。
こんなカラーも素敵♪
実際には、砂漠のようにサラサラの黄土色の砂地に、オフロードの道端にこんなふうに生えています。
こんな、一見荒れ果てたような環境の中に、こんもりとかわいらしい花輪を形作って咲く姿は、本当になんというか・・・思わず愛おしさをかき立てられます。
このリースフラワーが多くの人々を魅了する理由が、なんかちょっとわかったような。
たたずまいの愛らしさのみならず、それがこのタフな自然環境の中で自ら存在していること。その可愛らしさと力強さを併せ持つことに、心を打たれるのですよね、きっと。
ああー、私も見習いたい。
たおやかで可憐でありながら、強くしたたかに生き残っていける。なんかそんなふうに、なりたいなぁ~。
ドリプラさんのブログ↓では、さらにたくさんのリースフラワーの写真がアップされていて、見ごたえがありますよ!
必見保存版、世界でも珍しいリースフラワー写真集|Perth Dream Travel Planner
(ドリ子も働いておるのぅ~)
ひとしきり写真を撮って、次の目的地へ。
すでに午後3時を回っていますが・・・
何百万年も昔の地球と出会える公園!?
そのまま、Mullewaまで戻り、そこから今度はCoalseam Conservation parkへ。
花なんか見ても面白くない!とこぼしている息子に(はいはい、ごめんね)「Marine Fossil(海の化石)が見られるらしいよ!行って見よう!」と言ったところ、息子も乗り気になってくれました。
Coalseam Conservation Parkへは、やはり途中から未舗装の道が何キロか続きました。
この公園は、西オーストラリアの穀倉地帯(Wheat Belt)北部の地域において、最も多種多様の植物がみられる場所として知られているそうです。
この地域で特徴的な、乾いた砂質の土壌で生育する植物達が、春のワイルドフラワーシーズンになると一斉に開花するのです!
また、この公園のもう一つの特徴として、このエリアは、地表に石炭が見られる、世界でも珍しい場所だということです。
Coalseam Conservation Parkの一帯と言うのは、太古の昔には氷河に覆われていたらしい!
その氷河が移動する中で、下にある地表面の岩が削り取られ、堆積していきました。そうしてできた岩石を、今でも園内で見ることができるそうです。
まるでタイムカプセル!
そして2億6千5百万年前(!)には、こうした堆積物の上に湿地や泥炭地ができ、有機物が発生し、それがのちに石炭の層を作り出した、ということです。
Coalseamというのは、地層の中の、石炭の層のことを表しているようです。
そして、この園内を流れるIrwin Riverという川沿いに、崖が切り立っており、そうした石炭の層を含む何百万年も前の地層を観察することができるらしい 。
地質学的にも、たいへん貴重な場所なんだそうです。
とりあえず今回は、ピクニックエリアや展望場所は素通りして、化石が見られるポイントへ。
崖の断面に、くっきりと地層が見えます。
ただ、案内板も何もなくて、どこにどんな化石があるのか、全然わからない~(汗)。
夫が、「多分これ」というのを見つけました。
堆積物と思われる、岩のかたまり?に、貝がらや何かが混ざっているのが見えます。
「あーこれね~」「へぇー」
・・・ああ、詳しければ、色々とわかるんだろうけど。
私達には、このくらいのコメントが精いっぱいでした(笑)。
息子は、「化石」と聞いて、「恐竜の化石が発見できる!」と思っていたらしく(笑)、彼にとっては完全な期待外れだったよう。
しょぼーん。
ハハハ、仕方がない。
(ちなみに、娘は車の中で爆睡中。)
本当は、この公園もゆっくり回って見たかったけど、もう夕方なので、帰らなければ・・・
やっぱり、思いつきで決めた旅は、慌ただしい~。
それでも、園内の至るところに、黄色、オレンジ色、クリーム色、紫色、ピンク色・・・さまざまなワイルドフラワーが咲き乱れ、この時期しか見られないであろう、華やかな風景を見ることができました。
Pompom Headと呼ばれる薄黄色の花たち。濃い黄色の花はOrange Immortelle。
Bright Podolepisという黄色の花の花畑。
この公園はキャンプ場もあるので、いつかまたゆっくり来てみたいです。
そんなわけで、1日で1000km以上走ってしまった、ワイルドフラワーの旅でした。
みなさんは、泊りがけでゆっくりと訪れてくださいね(笑)。