中学高校生の留学・移住。パースで本当に学べること、学んでほしいコト。

最終更新日時 : 2016年3月16日

※一記事だったものを、長かったので前半・後半に分けました。
前半の記事は、留学・移住前に必読?パースのハイスクール、日本の中学と違う点。

 

Year8(日本の中学校1年生にあたる)になり、ローカルの生徒達が通うハイスクールに進学した娘。親子共々、とまどいながらも始まった、新しい学校生活。

しかし、ハイスクールのシステムは何もかもがプライマリースクールとは違いました。

また、娘の英語力を心配した私でしたが、やっぱりすんなりとはいきませんでした・・・。

 

我が家が直面した問題とは

term1を半分くらい過ぎた頃、娘が学校から帰って来て言いました。

「今の私には英語が難しくて授業についていけてないから、IECに行った方がいいんじゃない、って先生に言われた。」

えっ・・・?

どうやら、学校には、EAL/D(English as an Additional Language or Dialect: 英語が第一言語でない、つまり英語ネイティブじゃない)の生徒をサポートする専門の先生がいるらしい。
娘は(他にもいるらしいけど)その先生と1週間に1回面談をしているようなのですが、その先生から言われたらしいのです。

でも、私は初耳。
そのEAL/Dの先生って、誰?何者なの?

さらに、IECというのは、今までも娘が通っていた、移民などの海外から来て英語ができない生徒向けのコースです。

娘の通い始めた学校には、IECは併設されていないので、IECに行くということは、(たとえ一時的であっても)他の学校に通うということ。

そんな簡単に、しかも娘一人で決められることじゃない。

一体何がどうなってるの・・・???

と、ちょっとビックリしました。

それで、とにかく娘の話だけではハッキリしない、学校側から説明をしてもらわなくちゃね、と夫と話しました。

・・・ところで、いったい誰と話せばよいのか???
ここがよくわかりませんでした。

EAL/Dの先生は、英語が母国語でない学生を指導・サポートする先生。
娘に聞くと、直接娘の授業を受け持っているわけではないようです。
では、誰が学校生活全般において、娘を「受け持っている」んだろう?

 

担任を探して右往左往・・・


たとえば、プライマリースクールなら、クラスは決まっていて、担任の先生というのが決まっています。
学校生活で心配なことや問題があれば、その先生にまずは相談します。

日本の中学校では、教科によって教える先生がそれぞれ異なります。
ですが、クラスは決まっているし、担任の先生もいます(よね?)。
教科に限定される問題でない限り、たとえば病気になったとかイジメにあったとか、そういう問題があった時、まずは担任の先生に相談するんじゃないか、と思います。

・・・こっちのハイスクールでは、そういう先生は、いないの???
一体誰なんだろう・・・


とりあえずEAL/Dの先生とお会いすることにし、日程を調整してもらいました。

そんな折、Reporting Eveningという、放課後に各教科の先生と会って直接話ができる日(面談のようなもの)がある、ということを知りました。

そこで、担任の先生に会えるのではないか、と思い・・・

次の疑問は「担任って、誰?」

ハイスクールでは、生徒達はフォーム(form)というグループに分かれています。
1フォームは30名前後の生徒が所属していて、1~2名の先生が担当しています。
毎朝学校に行くと、自分のフォームクラスに行って、出席を取ったり、学校からの手紙をもらったりして、その後、授業が始まります。
授業では、科目によって生徒が教室を移動します。フォームはクラスみたいなものだけど、みんなで活動する『教室』というものはありません。荷物もすべて持って移動するそうです。

授業はフォームクラスは関係なく、科目ごとにレベル等によってグループ分けされ、そのメンバーで授業を受けるそうです。
だからフォームクラスで一緒の子が、授業では全然一緒にならないとか、逆にフォームクラスが違うけど何コマかの授業で一緒になる子がいたりとか、そういう感じらしいです。
そこに選択科目も入ってくるので、生徒達はみんなそれぞれ、完全に独立した時間割を持ち、それに合わせて動いて行く。
そして授業が終わったら、そのまま下校。

登下校の時間が全員同じこと以外は、中学というよりむしろ、大学に近いんじゃないか・・・なんて私は思いました。


たとえば学校を休む時などは、オフィス(受付)に連絡します。
また、たとえば病気のため課題が期限までに出せない、という時は、個別に教科の先生と話し合わなければなりません。


さて、先生との面談。

あらかじめ、どの教科の先生と会うか、親が選んで時間を指定するらしいので、一応フォームを担当している先生に面談を申し込もうとしたところ、

「私はフォームティーチャーなので、娘さんのことはわかりません。各教科の先生に聞いてください。」

との返事が。。。

なんじゃそりゃー???


英語力を伸ばす基本の基本

さて、そんなことがあって、結局私と夫は、term1の最後の週に、EAL/Dの先生とまず面談をさせてもらい、そして次の日の面談(Reporting Evening)では、英語、社会、英語のsound way(ネイティブスピーカーじゃない生徒を対象に行っている、発音とスペリングのプログラム)の先生それぞれと面談をしました。

Reporting Eveningでは、各先生と10分間話をする時間が確保されていました。

体育館みたいなところが会場になっていて、行ってみると、机がずらっと並んでいて、先生全員が座っていました。
ちょっと圧倒される風景!
そして予約した時間になったら、それぞれの先生のところに行くシステムです。

highschool3

先生、どこ~???会ったこともない先生を探すのも大変。

それまで、学校の先生方と直接話したことがなく、すべて娘の話から推測するしかありませんでしたが、この機会に、色んな疑問が解消され、たいへん有意義でした。

そしてわかったこと。。。


まず最終的に、娘はIECへ編入することはできない、ということがわかりました。
IECに所属できるのは2年以内、と西オーストラリアでは決まっているそうです。
そして娘はほぼ2年、すでにIECで学んできたので、もうIECに通うことはできないのだそうです。
私と夫の考えでは、今からまたIECに行くよりも、今は苦しいけれどメインストリームで腰を据えて頑張った方が、英語力も伸びるし環境にも慣れるし、よいんじゃないか、と思っていたので、正直よかったと思いました。

そこで、今の学校に通いながら、英語力をつけるための方法として、

・とにかく英語を読む。ノベルズ、マガジン、なんでもよい。毎日15分くらいでいいから英文を読む習慣をつける。
・語彙を増やす。自分の単語帳を作り、授業で出たわからない単語や文章は辞書で調べて、英語と日本語の意味を書き留めておく。
・英語のドラマやテレビ番組を見る。(ティーン向けのニュース番組 Behind the newsを先生は薦めてくれた)

ということでした。

 

「担任」はいない。

それから、ずっと疑問に思っていた「担任」の件ですが、やっぱりこちらの学校では、日本の中学校のようないわゆる「担任の先生」というのは、いないようです(!)。
勉強の話は各教科の先生に。そしてもしも学校生活全般について(いじめとか)何か問題があって相談したい場合は、学年の代表の先生(主任みたいな?)や、middle school(中等科)を担当している副校長に話をするのがよいのでは、ということでした。
フォームティーチャーは、出席を取ったり手紙を配布したりするだけで、生徒のことはよくわかっていないのだそうです。

そういう面では、基本的に西オーストラリアでは、ハイスクールの学校の先生というのは徹底的に「勉強を教える(もっと言えば政府の定めた学習内容を習得させる)」プロフェッショナルなんですね。

日本の先生は、時に生徒の家庭のことにも気を配ったり、いじめなどの問題にも対応を迫られるケースがあると思います。「金八先生」や「スクールウォーズ」など、中高生と先生の葛藤を描いたドラマも、過去に人気を博しましたよね。
先生とは、学習だけでなく、学校での生活全般について、生徒への責任を負っている存在だと、日本では認識されているように思います。親としては先生を頼りにできるし、ありがたい面もあるけれど、それでは先生の仕事というのはキリがないのでは・・・という気もします。

西オーストラリアでは、「先生」という職業の社会的役割や、学校というものの位置づけすらも、日本とは違うのだなー、とハッとさせられたのでした。

 

10代、子ども達は学校で何を学ぶのか

やっぱり私は、日本でずっと育って生きてきたので、日本の教育システムがある意味「当たり前」と思ってきたのですね。
私の中で、やはり中学生というのは、個々の勉強だけでなく学校生活全般について、まだまだ大人(先生)の指示が必要な年齢なのだ、と当然のように思っていたことに気づきました。

確かにこちらのやり方は、プライマリースクールとハイスクールのギャップがありすぎるんじゃ?という気は、今でも多少しているけれど・・・(笑)
基本的に西オーストラリアのハイスクールは、私が経験してきた日本の中学校とは、別物なのだ、と思いました。

こちらのハイスクールでは、もしかしたら、基本的な生活態度や社会性(友達付き合い、コミュニケーション能力)は、すでにプライマリースクールで身に付けている、とみなされているのかもしれません。
ハイスクールでは、それぞれが習得しなければならない学習目標があり、それを達成し必要な知識・スキルを身に付けるために、学校というものがあるのでしょう。
だから、それができない時、困った時、わからないことがある時・・・は、自分自身で解決していく必要があるのです。
先生や友達に聞く、本やネットで調べる・・・なんでもいい。解決していくための方法を自分で探し出し、自分でやっていかないといけない。

「指示されたからやる」のではなく、ある課題が目の前にあり、それをクリアするために必要な手段を自ら見つけ出すのです。
そして学校や先生の存在とは、それを最大限にサポートし後押しすることを目的としているのだ、と思いました。
わからないことは「~がわからない」と、必要なものは「~がほしい」と、自分から言わなければなりません。
できない課題があったら、なぜできないのか、何がどうなればできるようになるのか、自分で考えて先生に相談する。。。そういうことなのです。


今回の話し合いの中で、一番考えさせられたのは、娘に対する先生方の評価でした。
たとえば具体的な指示があり、それを正確にきちんとやる、という内容の学習については、とてもよい評価をもらいました。
ホームワークも、未提出だったものはなし(ほっ)。
ですが、論述するタイプのテストはやっぱり出来が悪く、その原因は語彙の少なさもあるかと思うのですが、何より、たとえば単語や文章の意味がわからない時に自分で調べようとしない、質問しないこと・・・「わからなかった」「できなかった」で終わってしまうこと。
じゃあどうすればわかるようになるのか?授業についていくために自分には何が必要なのか?
そこまで考えが及んでいないことを指摘されました。

たとえば、単語がわからないなら、電子辞書を持って来ればいいでしょ、と、ある先生・・・娘としては「先生が持って来いと言わないから持っていかなかった」なのです。

それはまさに、私が先に述べたこと―――「ある課題が目の前にあり、それをクリアするために必要な手段を自ら見つけ出す」ということなんですね。彼女にはまだ、その部分が足りないということなのだと思いました。
けれど、これからはやはり必要なのです・・・特に、周りよりも英語の面でハンディを持っているのだから、なおさら。

今の娘を見ていると、ずいぶんハードルが高い要求のように、正直感じます。
実際、私自身も中学生の頃、そんなことを考えたりはしなかったように思います。
当たり前に、教えられたことをそのまま覚え、先生に言われたことをやる。その通りにできればよくて、できなければダメ。
それだけだったように思います。
でも、大人になって社会に出た時、自分で生きて行くということは、身の回りに起きるさまざまな問題を、誰もが自分で解決していかなければなりません。
特に仕事をする中では、難易度の高い問題をいかに迅速に解決していくか・・・が問われますよね。
到達点があり、そこへたどり着くためにどんな道をどう進めばよいか、を自ら考えること。そのために自分がどうふるまえばよいか、人に何を要求すればよいか、を整理すること・・・私がそのことの意味と重要性を知ったのは、たぶん社会人になってから。
もしもそれを、もっと社会に出る前に理解していたら・・・と今でも思うことがあります。

だから私は、今は難しくとも、ハイスクールの生活を通して、娘がそういうことを少しずつ学んで行けるなら、それは本当によいことだと考えています。
それはいずれ社会に出て、自分が本当に好きなように生きるために、とても必要なスキルだと思うから。


highschool2


そんなわけで、このスクールホリデー中は、娘に、
・term1で習ったことの復習(特に英語が理解できなかった部分の再チェック)
・本を毎日読むこと
・英語の文法書を読んで練習問題を解く
を、自分で計画を立てて毎日少しずつやるように言いました。
一応、がんばってやっていた・・・と思います(笑)。


そして始まったterm2。

少しは授業が楽に感じられるようになっていると、いいんだけどなぁ~。


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Chieko
2013年より、西オーストラリア・パース在住。2017年永住権取得。
息子(小学生)、娘(ハイスクール)、夫と4人暮らし。

オーストラリアをテーマにしたライター。得意分野は、食、生活、子育てに関すること、子連れでの観光・旅行(キャンプ)。
趣味は料理・ガーデニング・DIY。

オーストラリア生活で私が学んできた英語のことと、大人の英語勉強法についてつづるブログ「話す英語。暮らす英語」も更新中。
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