気が付けば、秋真っただ中のパース。
すっきりと晴れた、さわやかな日が続いていますね~。本当に心地よく、良い気分で過ごせます♪
公園を散歩したり、ガーデニングしたり、バーベキューしたり、屋外で過ごすのが楽しい季節!
しかし、晴れた日は紫外線に注意です。
むしろ、夏はとにかく暑いため、自然と陽射しを避けるものですが、このくらいの季節の方が、日焼けに無防備になりがちだなーと、個人的には思います。
みなさん、オーストラリアではどんな紫外線対策していますか?
日本ではさまざまな日焼け止めが販売されていますし、ネットではさまざまな情報があります。
でも、オーストラリアに来て、どんな日焼け止めを使ったらいいんだろう・・・と、正直私はすごく悩みました。
英語だし、日本とは表示も違うし、わっかんなーい!
それから、オーストラリアの日焼け止めについて、色々と調べてきました。
特に私の場合、自分よりも、子どもの日焼け対策が気になりますね。
オーストラリアは紫外線が強く、皮膚がんも多いと言われています。
子ども達に使わせる日焼け止め、どんなものを選んだらいいのかな・・・と探しました。
今回は、「オーストラリアの日焼け止めを選ぶために、知っておきたい基礎知識」をまとめたいと思います。
日焼け止めの表示、SPF,PAは?
まず、日焼け止めの基礎について、軽く触れたいと思います。
太陽の光に含まれる紫外線(UV)には、UVAとUVBという2種類があります。
◆UVA : 肌に深く浸透し、日焼け(皮膚が黒くなる)の原因となる(そのため、日焼けサロンのライトに使われます)。皮膚の老化やしわの原因となる。一年を通して日中は高いレベルが降り注ぐ。
◆UVB : 皮膚が赤くなってヒリヒリと焼ける(sunburn)。皮膚がんの主な原因。日焼けや皮膚の老化にも影響する。UVAと違い、UVBのレベルは高度、緯度、一日の時間帯や季節により変化する。
日本では「SPF 50 PA+++」などの表示が一般的です。
SPFは、UVBの防止効果を表しており、「数値が高いほど、日焼けするまでの時間を遅らせることができる」という意味です。
PAは、+が多いほどUVA防止効果があるそうです。
オーストラリアの日焼け止めは、基本的にPAは+のみで、「PA+++」等はみかけません。
一方、SPFは日本と同じような感じで、日焼け止めとしては、SPF30~50が一般的です。(SPF50が最大)
日本では「シミがない」「美白」など、特に女性の美容目的=「日焼けで黒くならないこと」が、日焼け止めを使う大きな目的では?一方オーストラリアでは、皮膚がん防止など、過度な日焼けによる健康面でのリスクを減らすことが、日焼け止めを使う大きな目的となっています。
このような「日焼け止めに求めるもの」の違いが、PAの違いに表れているのかも、と思いました。
日焼け止めの成分(紫外線吸収剤、紫外線散乱剤)
日焼け止めには、紫外線を肌に浸透させないよう、「ブロックする」素材が入っています。
このような、日焼け止めの効果を出すための『有効成分』は、主に大きく2種類に分かれます。
ひとつは、「紫外線吸収剤(Organic chemical filters)」。これは、紫外線を吸収する化学物質です。紫外線を自分の中に吸収し、化学反応を起こして熱などを放出します。それにより、紫外線が皮膚に浸透するのを防ぐというしくみです。UVAのみ、UVBのみ、両方に働くもの、それぞれがあります。
もう一つは、「紫外線散乱剤(Inorganic metal oxides)」。これは、紫外線を反射・拡散させる無機物です。紫外線を反射させることによって、皮膚への浸透を防ぎます。つまり、物理的に紫外線を跳ね返すしくみです。
オーストラリアの日焼け止めに使われる『有効成分』は、主に以下のようになっています。
※以下、こちらの成分表示に書いてあるとおり、英語名で記載します。読みづらくてゴメンナサイ。
◆紫外線吸収剤
UVA フィルター | |
---|---|
Butyl methoxydibenzoylmethane または avobenzone (Parsol 1789) | t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン |
Ecamsule または Mexoryl SX | メギゾリルSX |
UVB フィルター | |
Octocrylene | オクトクリレン |
Homosalate | ホモサラート |
Octyl salicylate または octisalate | サリチル酸オクチル |
Octyl methoxycinnamate | メトキシケイヒ酸エチルヘキシル |
4-methylbenzylidene camphor (4-MBC) | 4-メチルベンジリデンカンファー |
UVA & UVBフィルター | |
Bemotrizinol または Tinosorb S | ベモトリジノール、チノソーブS |
Methylene bis-benzotriazolyl tetramethylbutylphenol または Tinosorb M または Bisoctrizole | メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、チノソーブM |
Benzophenones (oxybenzone & dioxybenzone) | ベンゾフェノン |
※参考までに、英語名からネットで調べた日本語名を掲載しました。日本の日焼け止めの成分表記と一致しているかどうかは不明です。
◆紫外線散乱剤
紫外線散乱剤の成分は、以下の2種類です。UVAとUVB両方に効果があります。
zinc oxide | 酸化亜鉛 |
titanium dioxide | 二酸化チタン |
日本の日焼け止めの成分と、共通点も多いかと思います。しかし、オーストラリアの日焼け止めに関するガイドラインは、日本と多少違いがあります。
以降に詳しく書いていきます。
紫外線吸収剤のメリット・デメリット
昔の日焼け止めは、塗ると「オバケみたいに白くなる~!」って感じだったけど(笑)、今の日焼け止めはサラサラで付け心地も軽く、白くなりませんよね?
こうした、「白くならない」「のびがよい」などの使い心地は、紫外線吸収剤だからこそ実現できるものです。
また、紫外線吸収剤はUVを防ぐ効果が優れているので、特にSPFの高い日焼け止めに使われているケースが多いそうです。
しかしながら、紫外線吸収剤を使用した日焼け止めでは、人によって肌に刺激となったり、日光に対するアレルギー反応のような症状を引き起こすことが報告されています。特に、Butyl methoxydibenzoylmethane、oxybenzone、4-methylbenzylidene camphor (4-MBC)は、このようなアレルギー症状の原因となりやすいようです。
先に説明しましたが、紫外線吸収剤は、紫外線を吸収して熱を出し、化学反応によって物質が変化します。その時の熱や、新しく生成された化学物質が、肌に負担をかけていると考えられます。
もう一つ、紫外線吸収剤について懸念されていることが、『内分泌かく乱作用』です。
つまり、人体のホルモン作用を乱すような影響がある、こということです。
oxybenzone, octyl methoxycinnamate、homosalate 、4-MBCといった紫外線吸収剤については、成長や生殖機能に影響を与えることが研究で示唆されています。octyl methoxycinnamateは甲状腺にも影響があるそうです。
研究室での実験に比べると、日焼け止めに含まれる量は微量だと言えますが、保存料など他のケミカルと混合された時のリスクは、まだ研究されていません。
特に議論になっているのが、4- MBC。
オーストラリアでは多くの一般的な日焼け止めに使われています。
が、日本では今のところ、安全性を証明するデータがないことから、日焼け止めの成分としては使用が禁止されているそうです。アメリカも同じだそう。デンマークでは、12歳以下の子どもが使う製品に使用したり、妊婦や授乳中の女性が使う製品への使用も禁止しているそうです。
しかし、オーストラリアやヨーロッパや他の国では、この 4-MBC が使用された製品が流通しています。
一方、紫外線吸収剤の中でも、Bemotrizinol(Tinosorb S)と、Methylene bis-benzotriazolyl tetramethylbutylphenol( Tinosorb M または Bisoctrizole)は、内分泌系の影響も認められず、肌を痛めることも滅多にないとされています。
紫外線散乱剤のメリット・デメリット
もう一つ、紫外線散乱剤。
こちらは化学反応が起こらないため、紫外線吸収剤のようなアレルギー反応は起こりにくいと言われています。
そのため、特に肌の弱い人は、紫外線散乱剤による日焼け止めを使った方がよい、とされています。
また、日本でも「紫外線吸収剤不使用」と表示された日焼け止めを見かけますよね。ホルモンへの影響もないとは言えないことから、紫外線吸収剤を使いたくない人にとっては、紫外線散乱剤を使った日焼け止めが好まれます。
zinc oxide(酸化亜鉛)の方が、titanium dioxide(二酸化チタン)よりも紫外線防御には優れているそうです。
紫外線散乱剤をメインにした日焼け止めは、私が見た限りでも、二酸化チタンよりも酸化亜鉛を使っているものが、圧倒的に多いです。
しかし、こうした紫外線散乱剤のデメリットとしては、やはり塗ると白くなってしまうこと。
使用感も重くなりがち。子どももなかなか塗りたがらないですね~。
また、紫外線散乱剤に関して、こんなことが問題になっています。
日焼け止めに含まれる金属の粒子は、小さくなればなるほど、白残りせず透明感が増し、使用感も改善されます。
そのため、ナノレベル(ナノメートルは、100万分の1ミリ)まで小さくした粒子が使われる傾向があります。
しかし、細胞よりも微小な粒子になった金属は、肌から体内に浸透する恐れがあり、体にとって有害ではないか?と懸念する声があります。
現在は、研究の結果により「ナノ粒子は安全だ」という見解になっていますが、いまだ議論は残っているようです。
少なくとも、「傷がある皮膚には塗らないように」という注意事項は見かけます。
体内に入った場合の健康へのリスクは、やはり認められています。
(そのため、クリームタイプはよいが、スプレーやパウダー状の紫外線散乱剤は、吸い込まないように注意が必要とのこと)
オーストラリアで、『紫外線吸収剤を使わない日焼け止め』として売れているのが、Invisible Zinc というブランドです。紫外線防御の素材としては、酸化亜鉛のみを使用しています。
このブランドは、以前 Non-Nano とか Nano Free(ナノ粒子不使用)と表示していました。
が、TGA(the Therapeutic Goods Administration :健康に関するグッズの管理局)が、表示を禁止したんですね。そのため現在、このブランドは Non nano と表示していません。
表示禁止の理由として、TGAは
「ナノ粒子の安全性は証明されている。Non-nano表示は、ナノ粒子を使っている他の製品が安全ではないような印象を消費者に与えてしまう。」
と言っています。
詳しいニュース記事は、こちら。
Elle’s sunscreen maker in hot water|Sydney Morning Herald (2011年7月20日)
ナノじゃないんだから、「ナノじゃない」って表示していいじゃん。
って個人的には思いますが・・・。
そんなわけで、オーストラリアは「日焼け」には厳しいものの、紫外線さえ防げれば他は大目に見てしまう・・・のか?!
というのがちょっと気になりました(笑)。
こちらの日焼け止めは、当たり前ですが、成分表示も全て英語なので、選ぶのも一層難しいですよね。パッケージの宣伝文句や商品名に惑わされず、しっかりと成分表示を確かめて、メリットデメリットを知った上で選びたいと思います。
次回は、こうした事情を知った上で、「オーストラリアの『子ども向け日焼け止め』、どれを選んだらいい?」ということを書きたいと思います。
※今回の記事の内容は、CHOICE(消費者のためのオーストラリアの非営利団体)のウェブサイトを参考にしました。
Guide to buying and using sunscreen|CHOICE