ずーっと雨続きのパースでしたが、先週末は久しぶりに、穏やかで気持ちのよい天気でしたね!
そんな先週末の8月13日(土)、14日(日)と、パースシティで「PERTH SCIENCE FESTIVAL」というイベントがありました。
なんでも、今週(8/13~8/21)は、オーストラリアのナショナル・サイエンス・ウイークだそうです。
パースでは、それにちなんだイベントとして、このパース・サイエンス・フェスティバルが開催されたようです。
結構前から、バスの全面広告などでも大々的に告知されていて、コミュニティ新聞にも広告が載っていました。
何しろ、FREE EVENT!
息子は今、宇宙のこと、恐竜のこと、虫のこと、、、などなど、サイエンスにすごく興味を持っています。
また、娘も、ハイスクールのサイエンスの授業は、難しいながらも面白いと言っています。
・・・というわけで、家族全員で、このイベントに行ってきました!
今回はそのレポートと、私が感じた、オーストラリアにおける子ども達のサイエンスへの触れ方について、つづってみたいと思います。
サイエンスのイベントは家族連れに大人気
パース駅の北口は、広々としたコンコースになっていて、頻繁に色んなイベントが開催される場所です。
今回は、ここ一帯に数多くのテントが出現。
それぞれのテントで、科学のさまざまな分野にちなんだ、種々の展示やミニ実験、工作などが行われていました。
天気がよかったこともあるでしょうが、とにかく家族連れがたくさん!
すごーくにぎわっていました。
正直、私はビックリしました。
娯楽系のイベントならまだしも、子ども向け『サイエンス』の企画展示が、パースの子ども達にこんなに人気だとは、正直思っていなかったんです(笑)。
展示の内容により、すごく人気で行列しているテントもあれば、空いているテントもあり。
例えばあるテントでは、小さい子向けのクラフトコーナーをやっていました。
息子は、ビーズでブレスレットを作りました。
まず、係の人がビーズとひものセットを渡してくれます。
それは、半透明の白いビーズ。
テントの中では、それは白いビーズですが、係の人がそれを日なたに持っていくと・・・紫やピンクのカラフルなビーズに変わる!
↓日陰ではこんな色。
日なたでは・・・↓
「このビーズの色が紫やピンクの時、それは太陽の紫外線に当たっている、ということなのよ。同じ紫外線が、あなたの肌にも降り注いでいるってことなの。だからこのビーズが紫色になったら、お父さんやお母さんに『日焼け止め塗って!』って言うのよ。」
そんなふうに、目に見えない紫外線を可視化することで、自分自身が紫外線にさらされていることが、子どもにもなんとなくわかるようになりますね。
ちょっとしたことですが、紫外線による皮膚がんの多いオーストラリアでは、こうした教育は必須だと言えます。
また別のテントでは、バーナーに炎が燃えていて、おじさんが、「Have you ever seen fireworks?(花火見たことある?)」と話しかけてくれました。
次に液体の入った小さな霧吹きを取り出し、「この中には、銅(copper)が入っている」と言いました。
バーナーの炎に、霧吹きで吹きかけると・・・炎が緑色に!
また、カリウム(potassium)が入っている霧吹きでは、紫色に。
ナトリウム(sodium)が入っている霧吹きでは、オレンジ色に。
ストロンチウム(strontium)が入っている霧吹きでは、赤色に。
こうして、金属の違いによって、花火は色んな色が出るんだよ。
だから今度花火を見たら、「あ、今ストロンチウムが空にあるんだ!」って言うと、大人はビックリするよ!
と、最後はオヤジギャグっぽい締めでした(笑)。
娘は今ハイスクールの授業で、元素の周期表について学んでおり、この実験を実は学校でやったばかりだったそう。
おじさんが、「元素はそれぞれ異なる電子を持っていて、加熱することで電子がエネルギーを出し、光を出す・・・そのエネルギーの違いによって炎の色が変わる。」(←あってる?)みたいなことを娘に説明していたけど、私は難しすぎてよくわからなかったなー(汗)。でも娘は、まさに学校でそれについて学んでいたので、自分の学びを再確認する、ちょっとしたよい機会になったみたいです。
宇宙の展示コーナーでは、息子はあこがれの(笑)NASAのステッカーをもらって大喜び。
ジェラルトンに近々、新しい宇宙観測施設?がオープンする(した?)らしい。
あと、3Dプリンターのデモンストレーションを見られて、面白かったです。
爬虫類の展示コーナーでは、私はニガテなので遠くで見ていましたが、子ども達はヘビに触ったり、間近で見ていました。
パース周辺の住宅地でもみかけることがある、ボブテイル(bobtail)というトカゲの展示も。
また別の場所では、天体望遠鏡で太陽の黒点を見ることもできました。
コンポスト、虫、体のしくみ、といった身近なことから、宇宙、化学などの分野まで、幅広い企画が揃っていました。
内容は、子どもでも親しみやすい簡単なアクティビティや展示などが、短時間で楽しめるよう、工夫されていたと思います。
しかも、すべてが、無料で体験できる!!
そして、子ども連れでたいへん混雑していたのが、印象的でした。
パースでファミリーに人気のサイエンス系スポット
子育てを通して、親として子どもの環境に触れる中で、日本とオーストラリアで違いを感じる場面は、多々あります。
もちろん、一人の親としての個人的で主観的な感想ではありますが、、、
その一つとして、理科(サイエンス)という分野についても、こちらは日本に比べると、より身近な感じがします。
まあ、パースは日本と比べると、子ども向けの娯楽施設が極端に少ないし、ホリデーといえばビーチやキャンプなど、自然の中へでかけるのが定番。(つまり、娯楽が少ないんですよ、ほんとに・・・)
そのため必然的に、科学館のような施設や、郊外で自然環境に関する展示や動植物と触れあう場所が、子ども連れの出かける定番スポットとなっているんだなーと感じます。
パースでポピュラーなサイエンス系の施設は・・・
◆博物館(Western Australian Museum – Perth)
パース駅から徒歩5分。
入り口のダイナミックな恐竜のオブジェをはじめ、隕石や鉱石、化石、オーストラリアの動物・昆虫のはく製などの展示や、アボリジニの人々の生活や歴史の展示など。幅広い分野の展示があります。
しかも、入場料無料。(ゴールドコインの寄付)
ですが、現在このミュージアムは一般公開はされていません。
新しい博物館を建設中とのことで、2020年に新たにオープンの予定だそうです。
◆サイテック(Scitech)
子どもを対象にした、科学にまつわる色んな展示があり、内容はとても充実しています。
体験型の展示が多いのが特徴。子どもも遊び感覚で楽しむことができます。
また、常設展示に加え、企画展示もその時々で行われています。
プラネタリウムもあります。
一般向けの他、学校の校外授業や、先生の理科の研修なども行われるようです。
我が家は一度スクールホリデーに行ったことがありますが、家族連れですっごく混んでいました!
場所:West Perth (City West centre Corner Railway Street & Sutherland Street, West Perth WA 6005)
入場料:大人$19、子ども$12、4歳以下無料。
ウェブサイト:http://www.scitech.org.au/
◆Gravity Discovery Centre
Gin Ginという、パースの90km北にある町にある、重力波観測施設に併設された、博物館です。
施設の内容については、過去記事:重力波初観測!成功を影で支えた西オーストラリア科学者の話 に書きました。
こちらも、西オーストラリアのサイエンス教育において、主に物理・天文の分野で利用されている博物館です。
料金:大人$20, 子ども$13.5(学生割引、ファミリー割引等あり)
休館日:月曜閉館
場所:1098 Military Rd, Yeal WA 6503
ウェブサイト:http://gravitycentre.com.au/
その他、レジャー施設ではありますが、
・水族館 AQWA(関連記事はこちら→雨でも西オーストラリアの海を満喫!冬のパース観光に、AQWA。)
・動物園 Perth Zoo
も、海の生き物や世界の動物について、楽しみながら学びを重視した展示になっています。
どちらも、パースの家族連れにたいへん人気のスポットです。
子育て・教育の中でサイエンスがどう位置付けられているか
こうした科学系の展示や企画が、さまざまな年代の子どもを持つ家族連れでにぎわうのを見て、パースでは子育てや教育の中でサイエンスという分野がわりと重要視されているのかな?と思いました。
なんていうか、市民権を得ている、というか。
サイエンスは「勉強=遊びの対極にあるもの、苦労して学ぶもの」ではなく、「楽しいもの・遊び」と地続きにある感覚なんだろうと思いました。
今回のサイエンス・フェスティバルも、確かにサイエンスだけど、子ども達の驚きや「へー」といった好奇心をちょこっと刺激する、というような感じ。
子どもは誰でも一時期、質問魔になると言われますが(笑)、
なぜ雨が降るの?
電気はどこから来るの?
どうして恐竜は絶滅したの?
なぜ地震は起きるの?
この世界は、本当に不思議に満ちている・・・それについて探求することは、子どもの好奇心を強く刺激し、ワクワク楽しくて、喜びや驚きを与えてくれる。それがサイエンスなんだろうなぁ、と私は思います。
そしてそれを通して、自分が生きるこの世界というものに対し愛着を抱いたり、自分が今見える世界だけではない物の在り方、しくみについて、客観的に受け止める能力が育っていくんだろう、、、と考えます。
その年齢、個々の個性によっての、理解できるレベルはあると思います。
完璧に理解できなくて、いい。
子どもが不思議に思った時、何度でもそれについて学べる環境があり、少しずつ理解を深めていければいい・・・。
そういう意味で、オーストラリアでは、子ども達が気軽に、身近に、サイエンスに触れる機会を作ることを大切に考えているように思います(理解できる、できないそのものよりも)。
しかも、あくまでも楽しく、興味を持たせることが、優先されていると感じます。
たとえば、息子は昨年、プリプライマリー(5歳児クラス)で太陽系の惑星の名前について学んでいました。
(ちなみに、日本では中学校で習うそうです)
ただ、惑星の名前を繰り返し書いて憶える。。。というようなものではありません。
先生の話を聞いたり、子ども向けの動画を見たり、自分の好きな惑星の絵を描いたり、工作をしたり、、、と、宇宙の世界に親しむ中で、太陽系に関する基礎的な知識を身につける感じだと思いました。
私は最初、「え、幼稚園の年齢でそんな難しいコトやるの!?」と思いましたが、息子はそれが本当に楽しかったらしいです。それをきっかけに宇宙に興味を持つようになり、今は自分で宇宙の本やDVDを見ながら、知識を増やしています。誰に強制されたわけでもなく。
(そこで私が専門的に教えてあげられたら、もっといいんですがね~ 汗)
子どもの好奇心やイマジネーションは、本当に素晴らしいものがあります。
子どもにとっては、新しいことを知ることは、まさに「遊び」の一部なんですね。
こんなふうに、年齢に関係なく、遊びの延長として子ども達にサイエンスに触れてほしい・・・
と、多くの親や周りの大人たちが思っているのだな、と感じました。
あくまで私自身の感じた主観的なものですが、私はいいことだな~と思いました。
一方、日本では近年、子どもの「理科離れ」という言葉が聞かれます。
科学、と言うと、「なんだか難しくって頭のいい人だけがわかるもの」というイメージ、ありませんか?
では、日本の子どもは理科(サイエンス)がキライなのか?
日本とオーストラリア、結果としてはどちらの方が、より理科の得意な子どもを育てているのだろう?
ということが、気になりました・・・。
それについては、次の投稿で書きたいと思います!
→ 日本の子どもは理科が苦手、は本当?なぜ理科教育が必要なのか、ということ。