昨日、第47回衆議院総選挙が公示されました。
先週、パース領事館から、在外選挙のお知らせが来ました。
海外に住む私は、在外投票をしようと思っています。
領事館での投票は、今日から始まっているとのことです。
海外に住んでいると、日本で投票するのとはちょっと違う、独自の手続きが必要なんですよね。
というわけで、今回の選挙について在外投票をする方法を、GITSのブログの方にアップしました。
特にパース地区に住んでいる私自身のケースを例に、投票の方法と候補者を選ぶ方法をまとめてみました。
海外からの選挙について興味がある方は、お読みいただけると幸いです。
ところで、日本にいれば、新聞を読んだり、テレビでニュースを見たりして、選挙の話題に触れる機会も多いと思いますが、海外にいると、自分からネットで能動的に情報にアクセスしない限り、なかなか日本国内の情勢を知ることができませんよね。
そんな中で、候補者の名前や政党はネットで知ることができるとして、いったい誰に投票したらよいのか???
日本に住んでいる人以上に、選べないと感じるかもしれません。
そもそも、今回なぜ衆議院が解散し、選挙が行われることになったのか?
それすら、なかなかピンと来ません。
でも、投票の前に、知っておきたいですよね?なぜ、選挙が行われることになったのか。
私自身も政治経済について詳しい方ではありませんが、ネットでこれまでのニュースをググりながら、素人なりにまとめてみました。
具体的な間違い等ありましたら、問い合わせフォームよりご指摘ください。
なぜ今、衆議院解散総選挙?
2年前の衆議院総選挙で、自民党の安倍首相は「景気回復」を公約に掲げ、自民公明(与党)が多数議席を獲得しました。
安倍首相の経済政策は「アベノミクス」という造語で呼ばれるようになりました。
それ以来、安倍首相が導入した大規模な「金融緩和」「公共事業などの財政政策」は、いったんは効果を上げたように見えました。
アベノミクスでは、こうした金融緩和や財政政策などにより、円安と株高が生じることで、大企業や投資家が儲かるようになり、その結果廻りまわって、労働者の賃金がUPし、消費が拡大する・・・というようなシナリオを描いていたようです。
実際に円安・株高になりました。
そしてその中で、今年の4月に、日本では消費税が5%から8%へと上がりました。
それを受け、今年の4月~6月の国内総生産(GDP)が、7.1%のマイナス成長となった(実質年率換算)ことが、9月に明らかになりました。
これは、東日本大震災が起きた年よりも低いとのことですが、消費税増税の直接的な影響とも思われており、次期は回復すると見込まれていました。
ところが、11月に、7月~9月のGDP(速報値)が発表され、年率換算でマイナス1.6%ということが明らかになりました。これは予想以上の落ち込みでした。
注)12月1日のニュースでは、その後速報値が修正され、前期比年率0.6%となったそうです。
特に個人消費の落ち込みが回復しなかったことが、さまざまに影響を及ぼしていると考えられました。
安倍内閣は以前から、この7月~9月のGDPなどを参考に、来年(2015年)消費税を10%に引き上げるか判断する(景気がよくなっていたら消費税引き上げを決定)、と言っていました。
が、景気が後退していることを受けて、安倍首相は、
「消費税増税を2017年に延期する。」
と表明しました。
ただしそれは、
「(その後の景気動向に関わらず)2017年には必ず消費税を10%にする」
という意味を含んでいますが。
そして、その決断と、アベノミクスの信を国民に問うために、解散総選挙を行う、と決めたのです。
安倍首相は、「与党で過半数を維持できない場合は、退陣する」と述べているそうです。
ですが、現在は衆議院でも安定多数を確保している与党であり、消費税増税先送りについては野党からの強い反対もない状況で、今、解散総選挙を行う必要があるのだろうか?という疑問の声も根強いです。
今回の衆議院選挙のためにかかる費用として、政府は今年度予算の予備費から、631億円を使う、と決定しました。
それほどの大金を使って、今ここで「アベノミクスの信を問うために」解散総選挙を行う必要があるのか・・・
中には、3年半前の東日本大震災の影響で今も仮設住宅に住んでいたり、原発事故で住む場所を失ったまま生活再建に苦しんでいる方々がいます。
そうした人々からは、選挙どころではなく、他にやるべきことはたくさんあるはずだ、と怒りの声も上がっているそうです。
アベノミクスだけが問題か?
ところで私自身は、海外に住んでいるため、正直なところ、消費税が5%から8%に上がったことや、景気全般に対して、すごく生活が悪くなった、という実感を持つことができません。
そんな海外在住の私にとっても、気になるテーマといえば、「特定秘密保護法」「集団的自衛権」「原発再稼働」などですかね。
昨年12月に可決された「特定秘密保護法」は、今月施行される予定です。
「秘密保護法」とは何か?その問題点について、簡単にまとめてみると・・・
「秘密保護法」とは、日本の安全保障に関する情報のうち、特に秘匿しなければならない情報を「特定秘密」とし、それを漏らした公務員や民間人に、厳罰を科すという法律です。
政府は、「国家の安全保障上の秘匿性の高い情報の漏えいを防止し、国と国民の安全を確保するためのもの」と必要性を説明しています。
が、何が「特定秘密」なのかは今のところ曖昧であることが、懸念を生んでいます。
その時の内閣・首相が、国民に知らせるべきではない、と判断した情報は、合法的に隠すことができてしまうし、それをリークした人は罰せられるということになるのでは、それは国民の「知る権利」を侵害することになるのでは、と心配する声があります。
また、
「現在でも「国家公務員法」等で、公務員の守秘義務を規定した法律があるのに、なぜ「秘密保護法」が必要なのか?」
といった疑問や、
「一般のブロガーが日本政府に不都合な情報を書いたりしちゃったら、処罰されちゃったりするようになるのの!!???」(←私も気になる!)
といった心配まで、さまざまな声が起きています。
さらにこの法案成立に際し、国会では十分な審議時間が取られず、与党により強行採決されたことも、批判されています。
そのため、「秘密保護法」については、一般国民から著名人、報道や法律に関わる団体など、広い範囲から反対の声が上がっています。
「憲法解釈変更による『集団的自衛権』の行使容認」は、今年の7月1日に、安倍内閣により閣議決定されました。
ここでおさらいしますと・・・
「集団的自衛権」は、おおまかに言うと『自国と密接な関係にある国が武力攻撃された際に、自国が攻撃されていなくとも武力を行使して反撃する権利』のことです。
日本国憲法9条では、日本の武力行使を禁じており、自国が直接攻められた場合には必要最小限の範囲で反撃する権利(これを個別的自衛権という)に限って認められています。
が、憲法では集団的自衛権は認められていない、ととらえられてきたため、たとえばアメリカがイラクなどに派兵したときにも、(名目上)日本の自衛隊は「非戦闘地域」で、後方支援活動のみを行って来ました。
それを、
「日本の安全が脅かされている場合(←たとえ自国が直接攻められていなくても、親密国が攻められた場合でも、自国の安全が脅かされている、と判断された場合には←その判断は政府が行う)の必要最低限の武力行使は、憲法上許容されていると解釈できる」
として、限定的な場合であれば、集団的自衛権の行使を認める、というふうに決めたのです。
これについては、平和・戦争反対の観点から大きな反対がありますし、「その時の内閣が憲法の解釈を変えちゃう」という、憲法の存在意義そのものを揺るがすような政府のやり方に、広い分野から批判・懸念が示されました。
これについては私もGITSのブログで「集団的自衛権の行使容認が閣議決定―オーストラリアのニュースから考えたこと」を書きました。
また、福島原発事故以来、日本国内で議論となっている問題の一つが「原発再稼働」についてだと思います。
今年、さまざまな新聞社やメディアで行われた世論調査をざっと見ると、もちろんばらつきはあるものの、どの調査結果もおおむね50%以上は原発の再稼働に「反対」となっています。
そんな中、現在は日本国内に48基(福島第一原発は除く)ある原発の全てが、定期点検等で止まっています。
ここで最近、鹿児島県の川内原発(せんだいげんぱつ)を再稼働するための手続きが、着々と進んでいます。
近くには火山もあり、緊急時の住民の避難計画にも問題が指摘されているんですよね。
自民党は、多議席を獲得した前回の衆議院選挙では、「原子力に依存しなくて良い経済・社会構造の確立を目指す」と公約していました。
その後、今年の4月に発表されたエネルギー基本計画では、原子力発電を「安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置付けました。
つまり、原発がまだまだ必要だ、と。
ただし、国民の声が「反対」に傾いているため、原発推進、とは言わないものの、あいまいで、少なくとも原発を使わない方向に向かう、とは宣言していない。
ここでは書き切れないほどの多くの複雑な問題が、福島原発事故で引き起こされ、今もなお未解決のままでありながら・・・
原発立地の地元自治体、電力会社、専門家、そして政府。
みんなが責任逃れをしながら、ずるずると原発を使い続けているように、私には見えてしまいます。
原発の問題は、一時の内閣だけでどうにかできるような問題でないことはわかります。
が、もう福島原発事故のようなことは2度と起きてほしくない、と切に願う私としては、やっぱり原発は使わないでいきたいし、日本がそういう方向に向かってほしい、と正直に思います。
福島原発事故が、日本にとって重大な負の遺産であることを、その重さを、安倍首相は本当に感じているのでしょうか。
このままでよいのか?どうすればよいのか?
こうした「秘密保護法」「集団的自衛権」「原発再稼働(を含む原発の問題)」に関しては、オーストラリアのニュースでも取り上げられてきました。
こちらの人々がそれをどんな目でみているか、私にはそこまではわかりません。
ただ、子ども達が世界のどこにいても、自分の国を恥ずかしく思わずに、日本人であることを堂々と言えるようであってほしいと願います。
少なくとも今までは、日本はそんな国であったのだ、と、私はありがたく思います。
安倍首相は、福祉のための消費税増税、と言っていますが、一方で法人税が大幅に減税されているそうです。
アベノミクスで雇用は増えた、と言いますが、実質は非正規雇用が増え、正規雇用は減っていると指摘されています。
また、昨日の厚生労働省の発表では、物価上昇を加味した実質賃金指数は、10月は2.8%減。
16ヶ月連続でマイナスということでした。
また同じ昨日のニュースでは、国債格付け会社のムーディーズが、日本の政府債務格付けをAa3からA1に格下げした、と発表されました。これは国の国債の信用度や経済の健全性を判断する指標とされていますが、今回のA1は、G7ではイタリアに次いで低い格付けであり、中国や韓国よりも低く、イスラエルと同レベルということです。
これは、アベノミクスにより日本経済が回復する、という予想は不確実であると判定されたことを示しています。
安倍首相は「景気回復」という経済面を強く押し出していましたが、アベノミクスは資産家や大企業にお金を回しただけで、一般国民に広く豊かさが行きわたっているとは言えない、日本全体の底上げにはつながっていない、それが徐々に浮き彫りになってきてるということなのかなぁ、と私は思います。
そしてその陰で進められた、「秘密保護法」「集団的自衛権」「原発再稼働」などなど・・・は、やはり私達日本人の生活に直結する問題です。
特に私が思うのは、これらの問題は、デモでたくさんの人が集まって反対をしたり、パブリックコメントでも反対意見が圧倒的に多かったりしているのに、自民党は国会で「多数派」ということで、決まっていったこと・・・これは本当に民主主義なのか?自分の党の議員が多数だからって、どんなに国民が反対していることでも決めてしまっていいのか???ということです。
こういうふうに物事が決まっていくのは、やっぱりよくないんじゃないか、と思うし、キケンだなと感じてしまいます。
日本の今後について、色んな考え方の人がいるのは当然だとしても、きちんと話し合い、色んな側面を考慮して、より多くの人がよいと思える形をめざしていかなくちゃいけないのでは?それが議会であり、民主主義なんじゃないのかな。
私はやっぱり、子ども達にそういう日本を残してあげたいと思います。
で、結局、誰に、どの党に、投票すればよいのか???
うーん、、、これはとっても難しい問題ですね。
結局、どの党に入れても、政治は悪くなる一方だし、政治家は信用できない、選挙制度も不正だらけ・・・
それでも、私はやっぱり投票に行きたいと思います。
それが今、自分に確実にできること、だから。
そして、もしも今まで書いてきたような日本の流れを変えたい、でもどうしたら・・・?と迷っている方に、こんな面白いサイトを紹介します。
さよなら安倍政権
注)アベノミクスでお金持ちになられた方、安倍政権の存続を望む方にはおススメしません(笑)。
この内容を支持するかどうかは、人それぞれ。
一つの考え方として、読んでみてはいかがでしょうか。
私も近いうちに、在外投票に行きたいと思います!
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