気温差の激しい、春のパースです。
今週は、比較的気温の高い日が続いています。
この時期、パースではジャカランダ(Jacaranda)の木が、紫色の花を咲かせます。
街路樹として植えられていたり、古い家の庭先に大きな木が立っていたりして、この時期は街のあちこちがこんもりと美しい紫色に染まって、たいへん美しいです。
うちのすぐそばのジャカランダの木も、少しずつ花が咲き始めました。
というか、花が咲くまで、ジャカランダの木とは、知らなかった・・・
パースはこれからどんどん暑くなっていきますが、暑い日のランチにちょうどいい・・・簡単さっぱりな冷やしうどん。
これから我が家では、頻繁に食卓に登場するでしょう(笑)。
今回は、うどんにまつわる話と、讃岐うどんの定番「生醤油うどん」風のレシピです。
讃岐うどんのほとんどは西オーストラリアの小麦で作られている?
私はパースに来る前、1年間ほど香川県に住んでいました。
香川といえば・・・いや、香川県じゃない、「うどん県」だった!
香川と言えば、さぬきうどん。
そしてさぬきうどんといえば、今や日本中で愛されている食べ物といえるでしょう(!?)。
カウンター越しに目の前で茹でて、サッと器にあけて、つゆを入れて、ネギなどのトッピングをしてくれます。
あと、天ぷらや鶏のからあげなどが置いてあって、好きな物を選んで買えるのもいい。
揚げたてのナスやえびは、うどんのつゆにつけてもおいしいし、そなえつけのだし汁に浸けて食べてもまたおいしくて。
ごまやおろししょうが、天かすは、トッピング自由だったりもしますよね。
麺は歯ごたえがあって、食べた満足感があります。
私も香川にいた時は、よくうどんを食べましたー。
私が忘れられないのは・・・
香川のうどん屋さんって、わりと朝からやっているんですね。
それで、家族で休日に、朝食を食べに行ったことがあります。
色が薄く、いりこ系の出汁がしっかりと効いた温かいつゆに、ゆでたてのうどんがサラッと入った、シンプルなかけうどん。
それが、春先の朝に、ものすごぉくおいしかったんです。
いやー、朝にうどんを食べるというのも、いいもんだな~、と思いました(笑)。
また、私が大好きなうどんの食べ方は、「生醤油うどん」です。
これは、さぬきうどん独特の食べ方のひとつですよね。
茹でたうどんを冷水で冷やして、大根おろし、ねぎなどをトッピングし、生醤油(しょうゆの一種。加熱処理をしていないため、甘みやまろやかさが特徴)をかけて、すだちもしくはレモンをしぼって食べるものです。
これが、さっぱりして大好き!
特に、気温が高い季節には、本当においしく感じました。
香川に住んだのはたったの一年間でしたが、香川は、うどんに限らず「食」全般に関して、たいへん豊かで奥深い土地だ、という印象を持ちました。
それについても、またいつかの機会に書いてみたいと思いますが、香川で過ごした中で、「食」に対する感覚が高められたような気がしています。
そして西オーストラリア・パースに来てから、日本の首都から8000km離れたここ異国の土地と、香川県との思わぬつながりを発見したのでした。
讃岐うどんの原料となる小麦粉には、現在そのほとんどが、ASW(オーストラリア・スタンダード・ホワイト)というオーストラリア産の小麦が使われているそうです。
ASWは、日本のうどんのために開発された、うどん作りに大変適した種類なのだそうです。
そして、このASWの主要生産地というのが、パースを含むオーストラリア南西部なんですって!
パースから30Kmほど南にあるKwinanaというところに、小麦輸出用の港があり(CBH Kwinana Grain Terminal)、そこから香川の坂出港へ、このASW小麦は運ばれているということです。
この西オーストラリアの気候が、うどんに向いた小麦作りに適しているということなんでしょうか。
(パース中心部から北東約200kmの町Dalwallinu。周辺はWheat beltと呼ばれる、小麦が生産されている地帯。今年9月に訪れました。この小麦が実際にASWの小麦かどうかはわかりません。)
現在このASWは、讃岐うどんに使われる小麦の約9割を占めるとも言われているそうです。
そこで、「さぬきの小麦で作ったさぬきうどん」を作ろうと、香川では、「さぬきの夢」という小麦粉を開発生産し、普及させようと力を入れているとのこと。
さぬきの小麦粉で作ったさぬきうどん。。。それもすごく素敵です。
一方、ASWはその性質がうどん作りに大変向いており、生産量も国産小麦に比べると多いので、必然的に今も日本のうどん用小麦の主流となっているのだそう。
実はこのASWは、オーストラリアの小麦生産全体量からすると、ごくわずかであり、まさに「日本のうどん」のために生産されているのです。
西オーストラリアと、日本。
食文化や風土はずいぶん異なるけれど・・・
『オーストラリアの食材』 と 『日本の食文化』 というのは、実は意外とマッチするかも???
パースの食事情を知る中で、私は漠然とそんなふうに感じることがありましたが、このさぬきうどんの事実を知って、なんだかとても納得したような気がしました。
讃岐うどんとASWの話は、香川県内の製粉会社のウェブサイトを参考にしました。(少し過去の記事です)
木下製粉株式会社 「「さぬきの夢2000」とASW」
吉原食糧株式会社 「オーストラリアの小麦「ASW」について」
Made in Australia な日本のうどん
さて、パースに来て、うどんはないかな~、と探したら、ありました!
日本語で「うどん」って書いてある!
でも、「Made in Australia」?
作っている会社は、「Hakubaku Australia」。
ネットで検索すると、出てきました。
もともと「株式会社 はくばく」は、山梨県に拠点を置く、麦など穀物類の製造販売会社です。
雑穀・大麦・玄米や麺類などを販売しているそうです。
先に述べた通り、現在の日本のうどん原料の主流は、ASWという小麦ですが、それは実は、何種類かの小麦がブレンドされたものだそうです。
「はくばく」は、よりよいうどん(乾麺)を製造しようと研究している中で、そのASWの中でも、最もうどん作りに適している品種を探し当てました。
ですが、その品種は事情により、オーストラリア国外では入手不可能だったのです。
つまり、その小麦を使ってうどんを作ろうと思ったら、オーストラリアで作るしかない!
それが出発点となり、1996年に「はくばくオーストラリア」が設立されたのだそうです。
参考記事:
GO豪メルボルン 「はくばくオーストラリア 企業紹介」
「はくばくオーストラリア」では、うどんの他、そば、そうめん、らーめん、茶そば、のラインナップがあります。
特徴は、オーガニックの原材料を使用し、製麺に適した厳選されたオーストラリア産小麦で作られている、ということです。
工場はオーストラリア・ビクトリア州にあります。
きっと最初は、色んな困難があったのだろうと想像しますが、現在ではアジアフードショップだけでなく、ColesやWoolworthというオーストラリアの大手スーパーマーケットでもきちんと取り揃えられています。
私はそれを見た時、日本の食材というのがオーストラリアで大変ポピュラーなんだな~、と驚いたのでした。
よりよいうどんを作りたくて、追及していった結果、オーストラリアに工場を作った―――。
さらに、最初は日本の人々においしいうどんを提供するつもりだったと思うのですが、今はそれだけではなく、オーストラリアやアメリカなど、世界の人々に日本の高品質なうどんを広める役割を担っているといえるでしょう。
日本の食文化を高めるために、日本を飛び出すというのは、一見矛盾しているようだけど・・・目的を見据えてブレない強さと柔軟な発想。このコンビネーションが、新しい世界を作っていくのかもしれないな、なんて思いました。
というわけで、私ははくばくオーストラリアの麺類をいつも買っています。
これからも、おいしくて質のよい日本の麺を、オーストラリアで作り続けてほしいです。
はくばくオーストラリアさんが作る有機うどん、日本でも食べてみたい、という方へ、朗報です。
こちらから購入できるそうです。→「黄金の大地 まるごと有機うどん」(はくばく本社さんのサイト)
はくばくオーストラリアさんが教えてくださいました。
ただしこちらは、オーストラリアで販売されているものと比べ、塩分が含まれていないという違いがあるそうです。その他は同じ、オーストラリアの有機小麦をオーストラリアで製麺した製品です。興味ある方は試してみてください。
当ブログのレシピを見て作る場合は、塩加減は調整してみてください。
※2016年6月1日加筆
生醤油うどん風のレシピ
パースはこれから、だんだんと夏に向かっていきます。
気温の高い日のランチに、こんなさっぱりうどんメニューはいかがでしょうか?
さぬきうどんで定番の、「生醤油うどん」風で。
ポイントは、しょうゆ。
生醤油のかわりに、普通のしょうゆにラパデュラ・シュガーと昆布(Kelp粉末)をほんの少し加えて、甘みと風味を足して雰囲気を出しています。
ラパデュラ・シュガーとKelp粉末については、基本の調味料 をお読みください。
いりごま・すりごまについては、いりごまの作り方 をお読みください。
By 10月 29, 2014 讃岐うどんの定番メニュー・生醤油うどんを、西オーストラリアで手軽に作れるようアレンジしました。 WordPress Recipe Plugin by ReciPressさぬきうどんの定番・生醤油うどん風
材料
作り方
生醤油風しょうゆは、分量は多めになっています。
かける時は、味を見ながら少しずつかけてください。
生醤油風しょうゆは、食べる直前に作ってもよいのですが、できれば2,30分置くと味がなじんでおいしいので、前もって作っておくとよいです。
おろしたてのしょうがと、Spring Onionの辛み、そしてレモンの酸味が、シンプルな味付けを引き立てます。
大根おろしにしょうゆが程よくからんで、これがまたオイシイ。
トッピングは、好みで増減してください。
カンタンでおいしいこの生醤油うどん風の食べ方ですが、ひとつだけ困ったことがあります。
私はいいんですが、子ども達は、大根おろしも、しょうがも、ねぎも、キライ。
だから、子ども達が食べる時は、ホントに「ただのうどんとしょうゆ」だけになってしまうんですね(笑)。
喜んで食べるんですけど・・・
まぁ、そういう日は夕ご飯できちんとバランスを取るとして、たまにはこんなメニューもいいですね。
いずれは、オーストラリアの小麦粉を使ってうどん作りにチャレンジしてみたいです。
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