中学生で英語環境に入っていくのは難しい?海外移住・留学のためのヒント。

先週末は、イースターで4連休でした。

パースにお住いの皆さんは、楽しい休日を過ごしたでしょうか?

我が家は色々とありました・・・いいこともよくないことも。
一言で言うと、パッとしないロングウィークエンドだったかな~(笑)。

あるワイナリーでは、すごくきれいなバラがガーデンいっぱいに咲いていて、癒されました♪

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ところでパースの公立学校は、2月に新年度を迎え、Term1~Term4まで、4学期に分かれています。
そのTerm1も、もう来週で終了。
(4月10日(土)~25日(月)まで、スクールホリデーになります!)

はやい!!

たとえば日本の学校でも、4月の後半あたりから、家庭訪問があったり個人面談があったり、、、とあると思うのですが、こちらでも、Term1を半分くらい過ぎた頃になると、親と先生と話をする機会と言うのがあります。

イースター連休の直前、娘のハイスクールでReporting Eveningがありました。
これは、いわゆる先生との面談です。

日本では、全生徒に対し、先生と親が話をする機会が必ず設けられると思いますが、うちの学校は、この面談も『必ず全員』というわけではないです。先生かもしくは親が、話し合いを希望した時だけ、参加するしくみです。

昨年は、ハイスクールという新しい環境に、娘も親の私達も戸惑いの連続でした。
昨年のReporting Eveningも、おろおろしながら迎えました。

その時の様子については、以下の過去記事に書いてあります。

留学・移住前に必読?パースのハイスクール、日本の中学と違う点。
中学高校生の留学・移住。パースで本当に学べること、学んでほしいコト。

日本の中学入学と大きく違う点を、自分自身の驚きを込めて、つづりました。

そんな一年前を思い出しつつ。。。

今回我が家は、せっかくの機会なので、必修4教科(英語、数学、科学、社会)の先生と、EAL/Dの先生(次の項で述べます)と、合わせて5人の先生と面談をしました。
色んな先生がいて、面白かったですね~。

そして、先生方と話した中で、子どもの英語習得に関して、親として気づかされた点が色々とありました。

小学校6年生(11歳)でパースに来てから約3年。日本では特別に英語を学習した経歴がなかった娘ですが、現在の英語の学習環境の中で、すごく伸びた面もあるし、さらに力をつけていきたい面もあると思いました。「英語」と一口に言っても、学校教育の場では、様々なスキルが必要とされます。

そこで今回は、11~14歳くらいの年齢で英語環境に来た場合、英語面でどのように成長していけるか、その時の課題や問題点、を私なりに考えてみたので、書いてみたいと思います。

あくまで我が子を見ながらの親としての感想ですが、今後、パースや他の英語圏へ、同世代の子の移住・長期留学を考えている方へ、少しでも参考になれば、と思って書いてみます。

中学生くらいの年代の移住・留学では、小学校低学年までの子とは違う難しさがあると感じます。


英語力、この一年で特に進歩した点は?

娘の学校では、ありがたいことに、通常の教科の先生とは別に、EAL/D(English as an Additional Language or Dialect:英語が第一言語でない)の学生のサポートを専門に行う先生がいます。娘も含め、さまざまな国出身の生徒達が、その先生のサポートを受けているようです。娘は、仲の良いお友達とグループを作り、その先生と週1回セッションを行っています。

そのEAL/Dの先生は、昨年からずっと見てくれています。
ハイスクールに入学した当初から娘を見てきたその先生は、この一年で娘の英語は本当に上達した、と言ってくれました。
特に、スピーキングがものすごく良くなった!目覚ましい成長を遂げた、と褒めてくれました。
これは本当によかった!!

やっぱりハイスクールで仲の良い友達ができたことが大きいだろう、と先生は言っていました。
娘のお友達も、中国、フィリピン、ロシア、あとはヨーロッパなど、海外から来た子が多いみたいです。
彼女達も、EAL/Dのクラスを受けているし、第2言語を学ぶ難しさを理解しあえるのかな、とも思います。
友達とのおしゃべりや、「楽しい!」と思う気持ちが、何より英語を上達させるのだ、と思います。

リスニングについては、日々の授業がすべて英語なわけなので、その環境の中で耳が鍛えられている点はとても大きいと思います。


言語の習得に関して、12歳前後が一つの境界(臨界期)と言われます。
それ以前なら、環境の中でその言語に触れるだけで自然と獲得できる。。。という年齢だそうです。
(今6歳の息子を見ていると、そのことが本当によくわかります)

12,3歳くらいでこちらの環境に入ってくるとなると、やっぱりそこまでスムーズにはいかないかも・・・と思います。
年齢的にも、小さい子のように「遊べば誰でも友達!」みたいに無邪気にはいかないし、友達との会話の内容も、小さい子のような単純な内容ではなくなってくるので、そういう難しさもあると思います。
言葉がうまくしゃべれない、ということで、引っ込み思案になってしまうことも、十分に理解できます(大人だってそうですよね?)。

が、話す・聞くについては、まだまだ感性が柔軟で、素晴らしい吸収力を持っている年齢だと感じます!
少なくとも、40代の私が必死こいてしゃべろうと悶絶するのに比べたら・・・(涙)ずーーーっと適応力があると思いますね。

周りの大人ができることとしては、本人の性格(社交的、おしゃべり好き、とか、恥ずかしがり屋とか、趣味は何か、など)を考慮しながら、(英語で)話せる場・話しやすい環境を確保してあげることが、まず英語環境に馴染む近道だろう、と思いました。

娘の場合はさらに、週1回英語教室(私の英語の先生でもあります)に通っていますが、その先生は会話をメインにすごく的確なレッスンをしてくれており、これも大きな支えになっていると思います。娘にとっても信頼できる場となっているようです。


成長に時間がかかるところは?

一方、ローカルの生徒に追いつくのが難しいスキルとしては、「読み・書き」ではないかと思います。

会話は瞬発力が必要なので、慣れるまでは難しさを感じるけれど、多少文法が間違っていたり、言葉の選び方が適切でなくても、雰囲気で分かり合える部分って結構ありますよね。

会話の延長のような友人とのSNSなどは別として、学びの場で使う「読み・書き」は、やっぱりそれよりもグッと難しくなると思います。

まず、リーディングについては、とにかく多くの文章を限られた時間で読まなくてはなりません。
一つのセンテンスも長いし、接続詞だけでなく、関係代名詞などを使った複雑なセンテンスです。
たとえばwhich, thatが何を指しているかを正確に読み取らなければならないし、たとえば時制をきちんと理解していないと正確に事実を読み取れない、などという点があります。

また、ライティングではそれに加えて、文法、スペリング、句読点の使い方など、すべてが見られてしまいます。

そういうことは、やっぱり友達との会話では、習得できないことかもしれません。

こちらの英語ネイティブの子達は、5、6歳から、学校で読み書きを毎日やっているんですよね。英語の文章表現に自然と親しみ、文章を書く時の決まり、質問に対する答え方、など、ハイスクール入学まで6,7年かけて、自然と身につけてきているのです。

また、プライマリースクール(小学校にあたる)でも、算数や科学などの言葉を結構習います。
たとえば、sphere(球)、rectangle(長方形)、mammal(哺乳類)、reptile(爬虫類)・・・などの言葉は、日本の中学高校では習った記憶がないけど、こちらの5歳くらいの子は皆すでに知っています。
それこそ、たーーーーくさんの語彙を、ローカルの子ども達は5,6歳から学んでいるんですね。
そして日常生活の中で使ってきています。

その差を埋めるというのは、やっぱり大変なことだと思います。

これらについては、粘り強く学習していけるかどうか、がカギなんじゃないかと思います。

コツコツと語彙を増やす、文法を覚える、文章を読む練習をする。。。

言語の面でネイティブの生徒との差を埋めるのは大変で、時間はかかるかもしれないけれど、努力と訓練で補って行けると私は思います。
何より、周囲に学ぶ材料が無限にあるのですから、本人が興味を持ち始めたら、どんどん学んでいけるでしょう。

そのため、英語が好きだとか、英語を使った仕事がしたい、海外に住みたい、など、子ども本人にそのような希望があれば、それが強い動機づけとなって、グングン伸びていけるように思います。

しかし、小さい子のように、英語環境の中にいるからと言って、生活の中で自然と覚えられるというものではない、とはいえるんじゃないでしょうか。

読み書きと言うのは、やはりテストやアセスメント(レポートなどの課題)の出来に大きく影響する要素なので、直接成績にも影響します。どんな得意科目でも、テストでは問題をきちんと読解し、文章で答えることができなければ、点は取れません。学業という場面では、とても重要なスキルです。

この点が、12歳前後で海外環境に移ることで、学習面で抱えなければならない課題と言えます。
短期留学等で、最終的に日本に帰国する前提ならばよいですが、海外移住など、英語環境で教育課程を終える予定であれば、腰を据えて向き合っていかなければならない課題だと、私は思っています。


中学生で英語環境へ行くことの難しさ

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今思うと、やはり11~14歳くらいというのは、小さい子とも、大人で海外に来るのとも、違った難しさがあると思います。

言語環境の変化に加えて、プライマリースクールからハイスクールへと、学習環境も大きく変わります。
学習の内容自体も、グッと難しくなります。
そこに、言葉の面でのギャップを埋めるという課題も加わってくるので。
さらに、思春期と言う、内面でもさまざまな変化や悩みを抱えるようになってくる時期。
小さい子のように、褒めれば素直にやる気を出す。。。というものでもなく。
かといって、自分自身の人生を見据えて、自律的にできるほどの大人でもなく。

とにかく、この年齢で海外へ行くということは、本人にとって本当に大変なことは間違いありません。
その点を左右するのは、友達や支えになってくれる人との出会いが、結構大きいんじゃないか、と思います。
親や周りの大人は、子ども達が困難な環境で頑張っていることを、まず認めていきたいですよね。

もうひとつ大切な点は、長い目で成長を見ていく必要がある、と思います。

大人は「子どもは英語環境に入ればすぐに英語を覚えられる」と軽く言いますが(笑)、このくらいの年齢では、学習環境でネイティブと同レベルの英語スキルを獲得するには、少なくとも数年単位で成長を見ていく必要がある、とわかりました。学習内容そのもののレベルが高まってくることもふまえて。
ハイスクールの各教科の先生は、その年しか生徒を見ないので(年度の途中で変わることもある)、他のネイティブの子と比べてどうか、という評価しかできません。成長、という面で継続して評価してくれる人がいると、励みになります。
我が家の場合は、学校のEAL/Dの先生や、個人的に通っている英語レッスンの先生が、継続的に娘の進歩を見てくれており、助かっています。

何にしても、「英語環境に放り込んでおけば自然とできるようになる」のは、小さいうちだけ!
(英語経験がない状況で)中学生くらいの年齢から本気で英語環境でやっていくには、周囲の適切なサポートが欠かせないと思います。

このように難しさはありますが、むしろこの年齢だからこそ、しっかりした日本語の基礎を持ちつつ、まだまだ吸収力のある年齢で英語を学ぶことができます。学習によって、両方の言語を高いレベルで使いこなせるようになれるのでは?!

そして、若い柔軟な感性で、日本と海外の文化をつなぐ架け橋として活躍する、なんてことも十分に可能!

親としては、後押ししつつ、娘の成長を見守っていきたいと思います。


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Chieko
2013年より、西オーストラリア・パース在住。2017年永住権取得。
息子(小学生)、娘(ハイスクール)、夫と4人暮らし。

オーストラリアをテーマにしたライター。得意分野は、食、生活、子育てに関すること、子連れでの観光・旅行(キャンプ)。
趣味は料理・ガーデニング・DIY。

オーストラリア生活で私が学んできた英語のことと、大人の英語勉強法についてつづるブログ「話す英語。暮らす英語」も更新中。
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